第10話 沈黙の果てに

夜の闇が街を包み込む中、高瀬たちは決戦の場へと向かっていた。

目指すは組織の本部ビル——そこにいる「上層部」を引きずり下ろすために。


黒ジャケットの男が掴んだ証拠は決定的だった。違法送金、贈収賄、裏取引——そのすべてが記録されたデータを公開すれば、組織は崩壊する。しかし、それを阻止しようとする者たちが黙っているはずもない。


「時間は限られている。今夜が勝負だ」


黒ジャケットの男は言い、高瀬も静かに頷く。


「どの道、引き返すつもりはない」


高瀬の部下たちも、それぞれが覚悟を決めていた。


「行くぞ——奴らの支配を終わらせる」


そう言い放ち、一同はビルへと突入した。



---


「裏切り者め……」


エレベーターが開いた瞬間、銃声が響いた。


組織のガードたちが待ち構えていたのだ。


高瀬たちは物陰に身を隠し、すぐに反撃を開始する。


「チッ……想定通りとはいえ、厳しいな」


黒ジャケットの男が低く呟く。


彼の手には、組織の内部ネットワークへ接続するための端末が握られていた。


「俺がデータを流す。お前たちは俺を守れ」


「了解した!」


高瀬たちは身を乗り出し、敵の注意を引きつけながら戦った。


銃弾が飛び交い、緊張感が極限に達する中——


「接続完了……あとは、アップロードするだけだ」


黒ジャケットの男が小さく息を吐く。


しかし、その瞬間——


「そのデータ、削除してもらおうか」


背後から、冷たい声が響いた。


高瀬たちが振り返ると、そこに立っていたのは、組織の幹部である男——長谷川だった。


「……やはり、お前が出てくるか」


黒ジャケットの男が静かに呟く。


長谷川は冷笑を浮かべ、銃を黒ジャケットの男に向けた。


「私が今ここで引き金を引けば、お前は終わりだ」


「お前こそ、焦ってるんじゃないのか?」


黒ジャケットの男は薄く笑い、手元の端末を操作した。


—データ送信完了—


その文字が画面に浮かび上がる。


「なに……!?」


長谷川の表情が初めて歪んだ。


「お前らの終わりだよ。全ての証拠は、すでに外部へ送信した」


黒ジャケットの男がそう告げた次の瞬間——


銃声が響いた。


長谷川の身体が弾かれ、床に崩れ落ちる。


「……これで決着だな」


高瀬が銃を降ろし、静かに言った。



---


翌日——


ニュースは一斉に報じた。


「違法組織の実態が暴露され、多くの関係者が逮捕」


「政財界にまで及ぶ闇の取引が明るみに」


社会は大きく揺れ動いた。


一方、高瀬たちは——


「これで、俺たちは自由だな」


黒ジャケットの男が、カフェのテラス席で微笑んだ。


「……だが、これが終わりとは限らない」


高瀬はコーヒーを飲みながら呟く。


「組織が崩壊したとしても、新たな闇が生まれる可能性はある」


「それでも、俺たちは選んだんだ。この手で真実を掴む道を」


黒ジャケットの男は、瞳の奥に決意を宿していた。


空を見上げると、一羽のハヤブサが旋回しているのが見えた。


まるで、すべてを見届けていたかのように——。


(完)


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瞳の中の真実〜ハヤブサが見つめる地上の真実〜 @kakukaku007

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