第2話 小さな幸せ
駅までの道を歩いていると、ふと足を止めた。
梅の花がほころび、ほのかな香りが風に乗って漂ってくる。
「春が近いな」と美咲は思った。
コンビニで買ったコーヒーの温もりを両手で包む。
いつもと変わらぬ朝だけど、今日は少し違う。
昨日まで気づかなかった小さな幸せが、そこかしこに転がっている気がした。
横断歩道の向こうで、小さな子どもが母親の手を握りしめ、何かを一生懸命話している。
その無邪気な笑顔に、つられるように美咲も微笑んだ。
「特別なことがなくても、十分幸せかもしれない」
改札をくぐりながら、そんなことを考えた。
大きな夢を追うのもいい。
でも、こうして日常の中にある小さな幸せを拾い集められたら、それで十分なのかもしれない。
蒼の断片 一条 蒼|Aoi Ichijo @aoinovels
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