蒼の断片

一条 蒼|Aoi Ichijo

第1話 大切なもの

春の風が頬を撫でた。

美咲は公園のベンチに座り、涙をこらえるように拳を握る。


「こんなことで泣くなんて……」


数時間前、彼との別れ話だった。

好きだった。

ずっと一緒にいられると思っていた。

でも彼の「ごめん」の一言が、すべてを終わらせた。


もっと強くなりたい。

こんなことで傷つかない自分になりたい。


でも、ふと気づく。

こんなに涙が出るのは、それだけ彼が大切だったから。

思い出が温かかったから。


「……そっか」


空を見上げる。

桜の花びらが舞い落ちる。

悲しみはすぐには消えないけれど、それでも、美咲は自分を責めるのをやめようと思った。

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