私は幸せでした。
パ・ラー・アブラハティ
好きでした。
君と喧嘩をした。些細な事だった。ほんの少しのすれ違い、私もカッとなって別れることを選択してしまった。
いまさら後悔しても遅いなんてことは分かっている。けど、分かっているからって分からないふりが出来ない訳では無いの。
どうして、あんなことを言ってしまったのだろう。
「いいよ」なんて簡単に口に出すべきでは無い三文字なんてことはちょっと考えれば分かるのに。
私は現実から目を背けて、冷たい夜風にふかれながら丸い月を見上げている。
夜風にふかれて、私も遠く遠くへ飛んでいってしまいたい。重たい気持ちをさらうようにどこか遠くへ。背中に羽を生やして、空を自由に謳歌する鳥のように。
君となら些細な喧嘩なんて乗り越えられると思っていた。でも、現実は甘くなかった。人は想像とは裏腹の行動をして、後悔をする。想像なんて夢より酷いものだ。
ベランダは君の匂いがしなくていい。部屋は好きだった君の匂いで溢れていて、とても居心地が悪い。前は居心地が良かったのにな。
頬を伝う涙を拭ってくれる柔らかな絹のような指はそよ風になって。そっと優しく月明かりは涙を照らす。
私、君と付き合えてとても幸せだったよ。色々なところに出かけて、部屋でゴロゴロ二人でするのも好きだった。私の横に君がいる、それだけで本当に好きで幸せだった。
でも、君はどうかな。最後の最後で喧嘩しちゃって、嫌な思い出で別れて。君は私と付き合ってて、幸せでしたか?
私は幸せで好きでした。
私は幸せでした。 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます