【十首連作】空のまんなか

御厨カイト

【十首連作】空のまんなか

青い春なんて言うには青すぎて手のひらの中こぼれ落ちそう


水たまり避けて跳ねればふたりして同じリズムの足音になる


電線に引っかかりそうな声あげて笑う横顔夏のまぶしさ


無造作に結んだ髪がほどけても気にも留めずに海へと走る


雲ひとつなかった空のまんなかで言葉にできずいろはすを飲む


コンビニの袋ぶらぶら揺らしつつなんか喋って間を埋めてる


坂道を飛ばしたあとに振り返る追いかけるはずの影が揺れてる


さっきまで指を握っていたくせに掌だけがやけに寂しい


しばらくは雨の気配もなさそうだ洗ったシャツをベランダに干す


さよならを言う勇気なく線を引く飛行機雲のようになりたし

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