草花とともに生きる、神と人の温かな営み
- ★★★ Excellent!!!
かつて、人の知らない隠れた里に彼らが生きていたかもしれない――そして、今も。
春の七草を象徴するハヤリガミたちが収める不思議な里には、どこか懐かしい空気が流れています。
細やかに描写により草花の世界がぽんと頭に浮かび、作中の人物たちともに笑い、眠り、食べたり、飲んだり、同じ生活をしているように心を癒されます。
穏やかな主人公・ナズナがつくり出す温かな空気。そして、少女・樹与の太陽のようにカラッとした明るさとたくましさ。二人の出会いによって動き出していく物語はやさしく、時には厳しく、力強く、読むたびに心が励まされます。
草花の織りなすうつくしい不思議な世界、神と人が交わることで生み出される特別な絆、じんわりと心温まりたい方におすすめの作品です。