はじめての空色
花森遊梨(はなもりゆうり)
第1話
「忙しくて空なんて見てる暇はないよ」
私は花森安曇。その年に採用された新任教師の研修旅行の最中だった
「空とかこういう広い世界を眺めて、そこからインスピレーションもらって面白い授業を思いつくのはこういう研修のミソなのになあ」
思わず無碍にしてしまったが、それでもめげない彼女は東海蒼空 小綺麗な作家みたいな印象の女だった
「何かを無理矢理やらせるのって好きでは無いんだよね。学びに自然と向けるような形が理想だけど、それを学校教育でやろうとすると生徒側も教員側も時間が足りないし、人手も足りなそうだしさ」
「なら、逃げなさい」
教育実習でもここまですんなり人に語りかけることはなかった。「私も含めてここにいるのは貸学金のために教師になるしかない、貴方はそうじゃない、貴方の熱意を、学校というシステムに食い潰させるのは、惜しいと思うから」
あれから一年
私は教師として学校の維持のために駆り出されている、書類に「先生‼︎」と呼ばれそうだ
アイツはいわゆるVtuber、天野蒼空
夜更けのお風呂で防水のスマホを綴る、今読まれている特別賞のタイトルは
〜恥の多い夏、終わる~誠司と久留美~
生まれて初めて見上げる空は、空色をしていた
はじめての空色 花森遊梨(はなもりゆうり) @STRENGH081224
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