最終話 黒髪巨乳生徒会長の恋人
「今日の書類、終わった、光也?」
放課後の生徒会。皆がわいわいと仕事をしているいつもの光景だったが、その中で二つだけ違うことがあった。
一つは、俺が雑用から副会長に昇格したことだ。紫乃の一存なのだが、これで副会長は沙織さんと俺の二人体制ということになる。生徒会規約に関する問題はないようなので、俺も承諾した。
「来月の生徒会長選挙、私、三選目指すから、副会長さんは応援演説をよろしく」
「逆効果なんじゃないのか、俺が紫乃の応援をするのは?」
「副会長として、私の応援をするのは当然なんじゃない?」
「それはまあ……そうかもしれないな」
さっさく紫乃が、副会長というカードを切ってきて、俺もその手札に応える。
そして変わったことのもう一つが、学園における俺と紫乃の立ち位置だ。朝の朝礼で紫乃が壇上から「恋人を作りました」と堂々と宣言し、晴れて俺と紫乃は大っぴらに恋愛関係を始めたのだった。
不平、不満、陰口、誹謗中傷はわりと多くあった。俺はそれらを覚悟していたんだが、驚くことにその多くが紫乃に対してのものだった。が、紫乃はそれをねじ伏せてしまった。いったいどんな方法を使ったのかと聞いても、「ないしょ♡ 光也がずっと味方してくれたから♡」と微笑むだけで教えてくれなかった。
その紫乃が、生徒会長選挙について、続けてくる。
「私の伴侶の光也が応援演説するから皆に示しがつくんじゃない」
「示し……?」
「私と光也に対する誹謗中傷は絶許……ごほんごほん。生徒たちに奉仕するという宣言よ」
「…………」
こいつ……。猫を被るのをやめて俺を恋人にしてから、躊躇というか遠慮がなくなったというか、もっと言葉を選ばずにいうと傍若無人に行動するようになったよなと思い返す。
心の中の闇が晴れたのはいいことなんだが、その反動で猪突猛進しようとするのは、俺がストップをかけなくてはならないなと胸中で言い聞かせた。
「紫乃さん。変わりましたね」
キッチンをかたずけていた沙織さんが、声を挟んできた。
「光也君を正式に恋人にしてから、迷いがなくなったというか躊躇がなくなったというか」
「良し悪しだな。まあ、紫乃なら程々で収めてくれるとは思ってる。紫乃は人の心の痛みを知ってるし。俺も一緒にいることだし」
「そうですね。私も、そんなお二人を見て、きっぱりと諦められましたし」
ニコッと笑った沙織さんの笑顔に、曇りはなかった。
「沙織先輩。お尻ペンペンの時間!」
ソファでさぼっていたリリアが、その沙織さんにせがんできた。
「リリアさんが自分の仕事を終えてからです。生徒会の仕事をきちんとする、副業をやめて学園生としての本分に戻る、というのが条件ですので」
「ブーブー」
「お尻、ペンペンされたいでしょう?」
「されたい……」
「なら、仕事を終わらせてください」
リリアは仕方なしといった面持ちで、書類の整理を始めた。
このリリア。どうしてこうなったかというと、あまりにもリリアが俺にまとわりついてくるものだから、しびれを切らした沙織さんが折檻したのだが、そうしたらコロリと懐いてしまったのだ。
そのままの成り行きで沙織さんがリリアの面倒を見ている格好なんだが、わりとこの二人はいいコンビなのではないかと思ってしまった。
「光也。大学は私と一緒のところに行くって約束、忘れてないわね。仕事が終わったら勉強だから」
「…………」
「勉強が終わったら、ご褒美、あげるから♡」
「!」
俺は、その紫乃の言葉で、がぜんやる気がでてきた。うまいこと俺を乗せてくれる紫乃に感謝しつつ。
エッチのときは相変わらず俺が責め立てているんだが、日常生活は完全に尻に敷かれている。
でもまあ、これからも紆余曲折あるだろうが、収まるところに収まってよかったなと窓から外を見ると。青い空がどこまでも遠くまで伸びていて、俺は紫乃と一緒に進んでいけると思える、そんなある日の生徒会室なのであった。
モブの俺を好きな学園優等生の黒髪巨乳生徒会長が、ストレス発散の為とか理由をつけてエチィことを要求してくる話 月白由紀人 @yukito_tukishiro
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