例えるならば、「悪意で染められた『このすば』のアクア」とでも言うべきでしょうか。
これほどまでに見事にヘイトを買うキャラは久々です。
読み終えてもなお大嫌いですし、腹に据えかねるものを感じます。
そういう意味では、徹底的に共感できない屑に造形されたキャラとしての完成度は、非常に高いと言えます。
それだけに結末になんとも言えないものを抱えています。
一方の転生者サイドは実に人間臭く描かれており、特に三人目は徹底して善人として描かれていたのが、この世界における数少ない癒し要素として機能しています。
ただそれだけに本当に不憫で……。
「結末」を見て、あなたは果たして何を思うでしょうか。
本作品のそれには、人それぞれにその答えがありそうです。
目が覚めた時、彼はゴブリンになっていた。
スキルも名前もない。
それどころか、人間を喰い殺した危険種として、世界に討伐命令が下されていた。
女神のきまぐれで選ばれた転生先。
それは、最弱で、最悪で、最も過酷な人生の再スタートだった。
だが、彼は死ななかった。
襲い来る冒険者たちを倒し、喰らい、血と肉を力に変えた。
そして、知る。この世界がゲームのようなシステムで動いていることを。
ならば、攻略してやる。
この体で、スキルを奪い、レベルを上げ、世界を裏返してやる。
そしていつか、
あの女神の喉元に、自分の刃を突き立てるために。
絶望の淵から立ち上がるのは、
もはや「人間」ではない。
だけど彼は、生きる。
血と罪と呪いを抱いて、彼はただ前へ進む。
これは、選ばれなかった者の異世界叛逆譚。
最弱からはじまる、最凶の成り上がりが今、始まる。
※読み合い企画からのレビューです
転生管理人・フィオラムは、飽き性で仕事に対し熱意の一切ない女神だ
あるとき、気まぐれでゴブリンに堕とした転生者が、彼女の"お気に入り"を殺してしまって──という導入から始まる本作品は、セオリーがなく先の見通せない物語となっている
まず、主人公と思われるフィオラムの性格が終わっている
飽きたからという理由で無数の世界を滅ぼし、前述したように気分で蹴落としたり贔屓したりするさまは、魔王とて震え上がる所業だ
物語は、彼女に転生させられた人々が主に回していくのだが、これがどう転ぶのかまったくわからない
しかし、読みやすく、面白く、非常に先が気になることだけは確かだ
レビュー当時はまだ第9話までしか公開されていないので、更新をゆっくり待っていようと思う