貢ぎオセロ(完敗) 諸金あかね NSFW

「はぁ~い♡残念でした~♡また負けちゃったねぇ~」


オセロでの対決は、さんざんだった。頭が軽そうに思えたが、その実力は確かだった。把握しきれていないが、おそらく序盤は定石通り手堅く打っている。中盤の試合展開もセオリー通りだろう。多少気分屋なのか、たまに甘い手を打つこともあるが、すぐに持ち直して自分のペースに持っていく。


加えて…


「ほら〜、なになに?♡もしかして、負けたくなっちゃった?だって、手〜止まってるよ〜?♡」

「ほらほら♡もう降参しちゃおうよ♡素直になりな〜♡」


試合中での口撃がこれまた嫌らしい。フェアプレイ精神は無いのだろうか?いちいち心を逆なでしてきて僕の心を苛立たせる。こんなので集中なんかできないだろう。だが、彼女のその声が聞こえるたびに、脳の奥の方で別の感情も湧き上がる。血液が赤く滾り、全身が熱を持つ。


そんなこんなで、結局負け越してしまった。彼女の作戦は完全に成功し、全く試合に集中できなかった。約束は約束通り、負けた石数分を貢ぐ。これは約束だからしょうがない……頭に血が上って、顔が熱い。身体が高揚感を感じている気もする。学生なのか多少レートが低かったがそれでも数試合分重なった負けの分で3000円分はいってしまった。


「……はぁ、あのさ、強いのは認めるけど、…もう少し相手に敬意を…って、あれ」


目を離したとき、あかねの姿を見失った。しかしすぐに、僕の懐あたりに屈むようにいるのに気づく。上目使い、紫色の瞳がよく見える。さっきまでの天真爛漫さはどこへいったのだろう、いつの間にか妖艶な色気をまとっていた。まつ毛の一本一本まで繊細に見える。まるでスローモーションのようだ。


時間が止まったように感じる。彼女の髪が揺れるのが、はっきりと分かる。猫のように、獲物を狙う狩人のように、しなやかで艶やかな身のこなしで、音もなく近づいていた。首筋に彼女の吐息を感じる。湿った、甘い香りの空気。心臓の鼓動が高まり、頭の中に響き渡る。


ふっ、と、その人形のような小さな顔と、花びらの艶やかさをもった唇が、僕の耳に迫った。吐息混じりの、熱を含んだ空気を鼓膜で感じる。彼女から発せられる言葉に全神経が期待している。空気を介しての彼女の熱を頰で感じる。


「あのさぁ、お兄さんさぁ……」


彼女の囁きで脳の深いところが侵食される。少女の面影は消え去り、限界まで甘い粘り気のある淫靡な霧の声が耳の奥を犯した。


既に全身がフル稼働で血が巡っていた。下半身も言わずもがな、熱が高まっている。あかねが近い、バレているのだろうか、いや、バレているに決まっている。どうなるんだ、何を言われる。あらゆる思いと考えが交差した瞬間、彼女の唇から言葉が紡がれる。


「勃起してるよね」


思わず身体が飛び跳ねた。電極を刺されたように、一瞬意識がとびかける。そして、すぐにたまらず仰け反る。あっ……と声が漏れ出て、突如として息が切れ始める。天真爛漫なあかねの、今まで見ることのなかった色気のある姿に、僕は全身の細胞一つ一つから興奮を発していた。


「ど、どうして……!」

「…!は、あっはっは♡図星じゃ〜ん、その反応、わっかりやすいねー♡」


突然明るい声を出して、あかねのアバターが再び肉薄する。今度は、獲物を追い詰めた狩人のように、慎重に、しかし悠然と、堂々と。エメラルドの宝石のようなその大きな瞳を見上げながら、僕にしか聞こえない声で囁く。


「ねぇ~、お兄さんは本当に勝つ気できたのかなぁ?私は、とてもそうは思えないんだけれどなぁ…」

「それは……」


鼓動が体の中で暴れている。心臓がかつてない速度で動いている。耳が熱く、脳を鼓動が占拠する。


「お兄さんは、オセロよりももっと別のことに興味あるんだもんね〜」「ほら、約束通り、私の言うこと聞くんだよね?ほら、右手、いつもしてるところにおいて?」


「ほら、負けた人は〜、勝者の言うことを聞かないと、だよ?ほら、大人なんだから、言うこと聞こうね?♡」


「ほら、言う事聞く準備できた?じゃあ行くよ…」


あかねの頬に力が入り、唇がゆっくりと横に開く。開花したばかりの小さな蕾のような口から、吐息が漏れ出す。空気の摩擦音から始まった音は、やがて彼女の興奮した様子で発する言葉に繋がった。


「シ コ シ コ ♡」


耳から入ってきた音が、僕の脳みそを完全に破壊してしまった。手が勝手に動き出す。あ、もうこれは、駄目だとすぐ理解した。情けない声が肺から漏れ出す。手があかねの声に従って動いてしまう。その言葉の響き、僕よりも僕のペニスのほうが待ちわびていたようだ。これまでのイライラ、苛立ち、怒りは全て消えてしまった。代わりに、彼女を求める全身の欲求と、彼女の言葉に打ち震える興奮、支配される悦びが僕の身体を駆け巡っている。僕のそんな様子を見て、あかねは、自分専用のおもちゃを手に入れた子どものように笑みを浮かべる。


「うんうん、言う通りできて偉〜い♡言う事聞けるいい子は大好きだよ♡ほら、もっともっと頑張れ頑張れ♡ほら…もっともっと」


「シコシコ♡ シ コ シ コ ♡」




その声に合わせて、僕の手はリズミカルにスボンの中で動き出す。彼女の号令に合わせて、僕の意思とは関係なく上下運動が繰り返される。手の圧迫感と、硬い布生地に擦れる快感が思考を塗りつぶし、理性を溶かす。彼女の喜ぶ声が気持ちいい、彼女に操られるのが気持ちいい、彼女のために気持ちよくなるのが気持ちいい。彼女のおもちゃになることを全力で受け入れていく。


「ねぇ、気持ちいい?気持ちいいでしょ?私の声でお手々動かして、お兄さんすっごい気持ちよさそうな顔してるよ♡」


「ほら、もっともっと、早く動かして♡どんどん馬鹿になって、情けない姿いっぱい見せて♡♡」


その後のことはもうよく覚えていない。唯一覚えているのは、僕はすべての責任も何もかもを手放し、ただ声に従える幸せを受け入れ、彼女の人形であることをただただ楽しんだ。


「はい、しこしこ再開♡もっと情けない姿でしこしこしよ?ほら、激しく~~♡」


僕はロボットのように命じられるがまま、ズボンを下ろし、そそり立ったペニスを晒す。硬く、溶岩のように滾るそれを、声に合わせて扱き始める。意識を手放して、操られることに、堪えようのないほどの興奮が全身を駆け巡る。


「はいストップ♡はい。すぐ再開〜♡」


突然の停止命令にも身体は従順に従う。ペニスは今にも爆発寸前で、内圧からの痛みで声が出そうになる。そして、再開の指示が下ると不完全燃焼の欲望が再度燃え上がる。彼女の気まぐれにも素直に従う自分に嬉しさすら覚え始める。


「良い子〜♡それじゃ、SNSに、敗北宣言して~♡」


霞む意識の中でも手は素早く動き、彼女の言う言葉を打ち込む。自分では発さない言葉が投稿された瞬間、恥辱が脳細胞を焼き尽くしたあと興奮へとすり替わる、三度ペニスは硬度を増す。僕の意思は、既に別の場所にあり、空中から僕の身体を見つめている。彼女の言葉に従う人形と化した僕の身体を見ていると、背徳的な感情と、圧倒的な幸福感が襲ってくる。


「はい、よくできました♡気持ちいいの、しっかり紐づけようね♡」


彼女の笑顔を見ていると、もはや多幸感で世界が輝き始める。怒りや嫉妬、恨み、不満などが存在しない。ここにあるのは快楽と支配、服従と従属の悦びだけだ。


「いっていいよ♡いま、イッちゃえ♡はい、いま!♡♡」


彼女の合図とともに、絶頂を迎えた。彼女という女神から放たれた光芒が、我が身を快楽で焼き尽くす。同時に、この世に生まれた意味を知ることができる。それは、彼女の支配に出会えたこと、服従すること、それこそが僕の生まれた意味。




・その後


ログアウトしてHMDをベッドに放り投げたあかね。両腕を天井に向かって背伸びをしながら笑顔で勝利を謳う。


「はぁ~、楽し〜!ほんっと、男って、ちょっろ!笑 ほんっと、ざっこい!!笑」


ベッドの上で手足を思い切り動かす。スプリングの反動を背中で感じながら、大きく息を吐いて、改めて笑い転げる。


(あいつら、ほんとにおかしいww 少し性欲つついただけですぐ言いなりだもんなぁw あー、楽しw)


あいつらの脳みそはどうなっているんだろう。狂っているとしか思えない。どうしてこんな大金をすぐに渡してくるんだろう?煽ってバカにすればみんな一緒の反応だ。私の経験上、男はどうやら頭に血が上ると、あそこも大きくなるらしい。そしてすぐに、私の言うことを何でも聞いちゃうおもちゃになる。


ある程度バカにしてそれっぽい言葉で挑発していると、突然腰を押さえながら急にしおらしくなるのも本当に飽きない。さっきまでの威勢はどこにいったのみたいな。射精……をしてるんだろうけど、身体も声も全部が気持ち悪くなって、本当に情けなくてみているのが面白い。


「……っ……!」


階段が軋む音が聞こえた。つい声を潜める。12時きっかりに寝るパパの足音だ。


つい、部屋に来るんじゃないかと身構えてしまう、椅子に座って適当に本を開く。結局部屋にはこないでそのまま寝室に入っていった。


「……ふぅ」


急に脱力してしまって、開いた参考書を元の場所に戻す。


将来の不安、そして目の前の課題と壁、私のやりたいこと、そしてやらなければいけないことから逃げている罪悪感。


「いいや、今日はもう眠いし、寝よ」


そういってあかねは眠りにつく。彼女のアカウントには沢山の男たちからのメッセージがきている。


小悪魔な少女のあかね。彼女が知ってか知らずか、その純粋さ、擦れていない感じに、また新たな犠牲者が生まれるのであった。

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貢ぎオセロ(願い、渇き、熱) @lemonade_pie

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