概要
これは、世界でいちばん――のんびりとした逃避行だ。
※読切集にあった短編の再掲載です
「……なあ、なんで新宿に行きたいわけ?」
「聞こえなーい」
時速三〇キロも出ていないし、まったく風も切っていないのに、聞こえないわけがない。
こいつ、言いたいだけである。
「あははははっ! 本当に誰もいないね! 信号だって無視し放題!」
「無視はしてないよ、だって点いてないんだし」
交差点を、速度を落とす事なく通過した。
すれ違った信号機の、並んだ三つの丸の全てが黒である。
もしも点灯していたとしても、きっと無視していただろう。
二人乗りをしている時点で、少々の違反はするつもりだった。
だが、律儀に曲がる時はウィンカーを出している。
「そう言えばヘルメットもそうだね。注意されないのに被ってる」
「これは安全面を考えてだ。転んで頭を打った時、
「……なあ、なんで新宿に行きたいわけ?」
「聞こえなーい」
時速三〇キロも出ていないし、まったく風も切っていないのに、聞こえないわけがない。
こいつ、言いたいだけである。
「あははははっ! 本当に誰もいないね! 信号だって無視し放題!」
「無視はしてないよ、だって点いてないんだし」
交差点を、速度を落とす事なく通過した。
すれ違った信号機の、並んだ三つの丸の全てが黒である。
もしも点灯していたとしても、きっと無視していただろう。
二人乗りをしている時点で、少々の違反はするつもりだった。
だが、律儀に曲がる時はウィンカーを出している。
「そう言えばヘルメットもそうだね。注意されないのに被ってる」
「これは安全面を考えてだ。転んで頭を打った時、
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