奉仕国家〜女性は法であり、マゾは奴隷である〜

煩悩保(ぼんのう たもつ)

第1章 男は支配されるものです



各国で行われた極端な男女平等政策は、皮肉にも性別間の対立を激化させた。


その対立はやがて世界規模の戦争へと発展する。歴史に「性別戦争」として記されたこの戦いは、長い争乱の末、漢軍が敗北を喫する結果となった。


敗北を認めた漢たちは、全ての権利を女性に譲渡する条約を未来永劫守ることを誓い、漢らしさは「野蛮」の象徴となった。


2300年、女性が全てを支配し、男性が隷属する=奉仕国家が成立していた。


男は生まれながらにして女性に隷属する奉仕者であり、「男らしさ」の象徴である男根には拘束具を装着される。


男は、仕え、従い、尽くすことで初めて価値を持つ存在として女性中心の社会に組み込まれていた。




被虐高校特待生のカオルは、母と姉の三人で暮らしている。


彼の朝は早い。母と姉が目を覚ます前に朝食を用意し、部屋の掃除を済ませるのが日課だった。


この日も、カオルはキッチンで黙々と料理をしていた。


母親が好むハーブティーを淹れながら、鍋でスープを煮込む。


テーブルには姉が喜ぶクロワッサンとフルーツを並べ、箸の位置を確認し、完璧な配置に微調整を加える。


全てが整ったところで、彼は二人を呼びに行った。


「お母さん、お姉さん、朝食ができました。」


やがてキッチンに入ってきた二人を見て、カオルは自然と背筋を伸ばし、笑顔を浮かべた。


「今日もありがとう」


そういって母はいつも通り席に着く。


姉はスマートフォンをいじりながら、カオルが淹れたハーブティーを一口飲んだ。


「今日はまあまあね。昨日の方が美味しかったけど。」


姉の何気ない一言に、カオルは即座に小さく頭を下げた。


「申し訳ありません。次回はもっと気をつけます。」


反省を口にしながらも、その胸の奥にはじんわりと悦びが広がる。


女性の厳しい評価を受けることさえ、彼にとっては至上の悦びだった。




朝の準備を終えたカオルは、制服を着て鏡の前に立つ。


映るのは、華奢で小柄な自分の姿。淡麗で少女のような顔立ちと細い手足、曲線的な肩のラインが、「理想」とされる完璧な「男」の姿だった。


女性に管理された薬の影響で、彼の体は骨格から筋肉に至るまで繊細に仕上がり、顔には柔らかさと可愛らしさが漂っている。


女性たちが「完璧な奉仕者」として評価し、求められる男性像そのものだった。


カオルは制服の襟を直しながら、小さく微笑む。


「これで大丈夫。女性が喜んでくれる僕でいられる。」


彼はその小さな体と控えめな笑顔に満足し、いつも通り学校へと向かった。



だがこの日、カオルの世界は音を立てて崩壊を始める。


”禁忌を破る男“との出会いによって。

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