第46話 12月31日・大晦日

 社畜をやめて三度目の大晦日は割とのんびり過ごすことが出来そうだ。年の瀬は人並みに大掃除しようと意気込んだものだが、窓ガラスを拭いただけでウンザリした。多少ホコリをはたいたが納戸状態の仏間や2階は手を付けず、居間や台所といった普段使いしている場所だけ片付けて掃除機をかけた。

 今は年末に特別にゴミ集積をするということはしないらしい。大晦日の前日まで平日通りのスケジュールでゴミ収集車が来る。

 いつか使うだろうと雑巾代わりにとっておいた服やボロ布がGの棲家になっていた。(4年も放置していたらそうなるか)それらを燃えるゴミと一緒に処分する。ゴミ袋三つも出すとそれだけで仕事をしたような気分になった。


 まだ掃除は終わってないが、偶にはお節料理でも作ろうかと姉に連絡すると、豆を2種類煮るからというので黒豆を煮てみることにした。筑前煮でも作るかと思ったが、普段一人分か二人分の料理しか作らないし、豆を煮るだけなら楽だろうと考えた。甘かった。

 蒲鉾と伊達巻はどうするかと訊くと一本ずつ買って来てとの事だった。スーパーで黒豆を見ると高い。小豆の倍以上する。予算1000円以内なので蒲鉾は後回しにし年始に品薄な野菜を買うことにした。買い物を2回に分けたが意味はなかった。

 翌々日にスーパーに行くと蒲鉾と伊達巻が店頭に並び始めていた。年末商品コーナーに設けられた値札を見ると…一つずつ買ったら予算オーバー。ならばお買い得セットはと目を向けると更に高い。ここにもインフレ物価高の影響が来ていた。


 最近のインフレ物価高は為替(円安)のせいではないと経済評論家?がいっていた。輸入物価指数とインフレ率が連動していないそうだ。グラフを出しドヤ顔で私ぐらいしかいってないけどマスコミは…日銀利上げに反対の立場から国民は騙されていると高説をのたまう

 

 そんなことはどうでもいい。銀行間金利がどうなろうと目の前の伊達巻が値下がりすることはないのだからと、やや恨みがましい感情を込めて年末商品コーナーを眺める。理力を使うジェダイの騎士でも動かせないモノを、ニートにはどうする事も出来ず会計を済ます。

 次に灯油を買いにガソリンスタンドに行った。暫定税率廃止までの数ヶ月、補助金増加による値下げでレギュラー価格は140円以下だった。昔はセルフスタンドは珍しかったなあと思いつつ原油価格っていくらだっけ?記憶を探るが出てこない。

 人件費や税金削ってもこんなもんか。ベースとなる輸入価格は円安だと高くなるから焼け石に水だ。結局資源や食料といった原材料を国内で調達出来ないんじゃそうなるよな。節約しても預金残高の減る速さは変わらない。その日最後に銀行で通帳の記帳を済ますと一日早いが一区切りがついたような気がした。

 家計簿をつけてから就寝。今年もあと一日かと布団にくるまると思いの外眠りに落ちるのは早かった。

 

 翌日の事である。そういえばここ数日市況確認していなかった。変わりないよなと証券会社のアプリを開く…値下がりしていた。日銀が利上げしても円安だし、クリスマス休暇で投資家も売買してないはずだろ。なんで?

 分かるはずもない。俺はささやかながら投資をしている。来年も金融市場に振り回される事だけは確実だ。

 

 



 

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新駄文日記 どうだっていいや @maestrogak

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