10秒クエスト

関口 ジュリエッタ

第1話 十秒クエスト

 とある王国ので国王が黒竜ボルデンから死の呪いをかけられた。そのせいで国王の残りの寿命はわずか十秒。

 このかなり限られた寿命のお中で邪竜を討伐できれば王の呪いは解けるのである。

 この無理難題を解決できるのは一人だけ可能性のある人物はいた。


 一軒の立派な住宅が入るくらいの王宮の応接間に青白い表情をした顎髭のある王とその側近の執事がそわそわしながら誰かを待っていた。


「まだ来んのかあの者は!!」

「落ち着いてください。もうすぐ来ます。それと王の残り寿命はあと九秒です」


 執事の言葉で余計に額に脂汗を流しながら国王はハラハラしだす。

 そんな中、王宮の応接間の扉が勢いよく開く。


「お待たせしました国王様!」

「遅いわボケェッ!!」


 国王の暴言を吐かれてひざまこうべを垂れる漆黒の重装備をした青年の名はヴェルキン・アラン。この国で唯一の勇者である。


 息を切らしている王に執事が言葉をかける。

 

「国王様」

「なんだ?」

「残り寿命五秒です」

「うぐぬぅぅぅ。――早く邪竜ボルデンを討伐してこい勇者!」

「御意」

 勇者ヴェルキンは特殊な魔法で王の脳内にシンクロして邪竜ボルデンの姿を確認すると、ワープゲートを開き、この場から瞬時に消えた。



 太陽をさえぎる邪悪な瘴気を辺り一面に張り巡らせている岩山に一体の黒竜がくつろいでいた。

 そんな中、黒竜の目の前の空間が歪みワープゲートが突然現れた。


「王の呪いを掛けた竜がいる場所はここで間違いないな」


 どうやって黒竜ボルデンの住処を特殊な魔法で探り当て、目の前の自分より何十倍ものある巨体な竜に勇者ヴェルキンは剣を構えて戦闘態勢に入る。


「まさかこの我と戦うためにワープゲートを使ってくるとはいい度胸だ。我が名は――」


 話し終わる前に勇者ヴェルキンは黒竜ボルデンの鋼でできた大木たいぼくのような喉元を剣で薙ぎ、頭を切り落とした。


「任務完了」


 その場からワープゲートを使い王都に帰還する。


「黒竜を討伐してきました国王様」


 すると満面の笑みで勇者を褒めちぎった。


「よくやった勇者ヴェルキン! 好きなだけ褒美をヴェホォッ!」


 急に王は口元から大量の血液を流し、王座から転げ落ち絶命してしまう。


 勇者ヴェルキンは一つ重大な過ちをしていたのだ。それは黒竜ボルデンは肉体の再生能力を持っている不死身のドラゴンだということを……。


       完

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10秒クエスト 関口 ジュリエッタ @sekiguchi

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