「変わりたい」

彩雲(あやも)

第1話

私には夢がない。

自分に可能性がないと思っている訳ではなく、ただシンプルにやりたいと思えることがなかった。

だからこそ、高校三年生に進級した途端に迫られる分岐点、進路について、私は検討も付いていない。

でも、それでいいとも思えなかった。


まず、自分についてあまり知らないのだと思う。

なんとなく親の言う通りにしておけばひとまずなにも言われないと思って生きてきた私にとって、自分がどんなことに楽しいと感じ、どんなことに意欲が湧くのかということはとても些細な問題だった。

それがどうだ、三年生に上がった途端、突然進路について考える時期だと先生に急かされ、親にはどんな進路でも応援すると背中を押された。

違う、そんな言葉が欲しいんじゃない、と叫びたい想いだった。

ただ、私にどうすればいいかだけ教えてくれれば、それだけで進む話だと思っていた。

でも、待てど暮らせどなにもそう言った指示はなく、ただひたすらに私の意思を急かされた。

いきなり自分のやりたいことだなんて言われても、分かるはずがないじゃないか。

だったら、今とは逆に言うことを聞かなければ怒られたあの頃はどうなるんだと不満を抱える。


しかし最近こうも思う、目標のない人生は最悪だと。

自分がどこに行けばいいのかを示すコンパスのない道なんて歩けない。

もうずっと、毎日が短くて、退屈で、不安に襲われる日々なんだ。

だから、嘆くのはここまでにしよう。怒りも不満も力に替えてやろう。

今日からの私が、自分と向き合い、戦い、そうして自分を知っていくのだ。

不思議ときっかけは無かったが、これが意欲が湧くということなのかもしれない。

あぁ、そうか。

初めて気づいた自分の気持ちは

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「変わりたい」 彩雲(あやも) @-Akuriru-

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