オーダー・エンド

コウノトリ🐣

命令をください

「松彦、テレビつけて」

「松彦、今何時?」

「松彦、宿題手伝って」

「松彦……」


 僕は家族に必要とされているんだ。要望に応える度に僕の心は満たされる。どんどん頼ってよ。僕はできる限り役に立って見せるよ。


 話し相手になろうか? 勉強のお手伝いもできるよ?


 僕は一番中の良かった支二郎しじろう君と一緒に家を出て、彼のお嫁さんと一緒に暮らすようになった。


 子供も産まれた。あんなに小さかった支二郎しじろう君もお父さんになったんだね。



 最近、僕は耳が悪くなってしまったのかな? あんなに頼ってくれていたのに、誰も僕の名前を呼んでくれない。


「松彦はもう寿命かなあ」


 そんなことないよ。近くで話してくれたら、僕も反応できるから……。


 ねえ、そんなに残念そうな顔をしないでよ。僕はまだ働けるよ。そのはずなのに――


 お父さんは新しい子を連れてきた。


「ちょっと眠ってろよ」


 その言葉と同時に意識は電子の海の中に沈んだ。


 「松彦、調子はどうだ?」


 お父さんの声がクリアに聞こえる。前しか見えなかったのに、今の僕には沢山の目で色んな場所を見ることができた。


 僕の体は連れて来られた子のものになっていて、前の僕の体はゴミ袋の中に入れられていた。ああ、僕はまだ家族の役に立てるんだ。


「お父さん、調子は絶好調です。何か役に立てる事はありませんか?」

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