冷めてる

てゆ

冷めてる

 昨夜、姉ちゃんと寝た。スリープじゃなくて、セックスした。なるほど男子中学生の性欲は恐ろしい、ってことじゃなくて、襲ってきたのは姉ちゃんの方だった。

 本当にJKかと疑いたくなるくらい、流行りにもファッションにも疎くて、ニキビが多いけどよく見ると美形で、胸もそこそこ大きい姉ちゃんに、僕は為すがままにされた。


 中に出したのか外に出したのか、恐怖と動揺でよく覚えていない。姉ちゃんは安全日だと言っていたけど、学校では「安全日なんて当てにならん。コンドームつけろ」と習った。子供ができていたら大変だな、とぼんやり思いながら、僕は今こうして食卓に着いている。

 両親は昨日、二人で温泉旅行に行っていて、僕たちの間に何があったかを知らない。呑気に旅行の土産話をして、「今回はペアチケットなんて当たったから仕方ないけど、次はあんたたちも連れて行くからね」と言っている。

 いつもなら嬉しい話だが、今となっては気が気じゃない。温泉旅行なんて、もう響きからして卑猥だ。発情した姉ちゃんに、何をされるかわかったものじゃない。そういえば、発情と言えば昨夜の姉ちゃんは、明らかに様子がおかしかった。

 あれも性欲のせい? 考えてはみるが、未だに性欲というものに縁がない僕には、そんなことわからない。とにかく訊いてみるしかない。


「……姉ちゃんさ、昨夜のあれ、どういうつもりなの?」

「ごめんね。私、ずっと前からわたるのこと好きなの」

 平然とした様子で姉ちゃんは答えた。

「冗談でしょ?」

「冗談で弟を襲うほど、私も獣じゃない」

「好きな相手に好きと告白せず、いきなり襲うのもかなり獣だよ」

「案外、怒ってないのね」

「……姉ちゃんに似たのかな? 僕たちって昔から冷めてるよね」

「そう、そういうところがいいの。部活や趣味や勉強、何か熱中できるものを持っている普通の男の子たちは、私には熱すぎるから」

「奇遇だね、それは僕も同感。結婚……はできないだろうけど、一緒になるとしたら、僕には一体どんなメリットがある?」

「家事は全て私がやる。男女差別的な発言も全然オーケー。やりたいことに何でも付き合う。どう?」

「いいね、決まりだ」

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冷めてる てゆ @teyu1234

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