【カクヨムコン参加】いつか飛び立てることが出来たなら

肥前ロンズ@「おはよう、サンテ」発売中

第1話

 どうして先生は、私にばかり文句を言うのだろう。

 例えば、同じクラスの男子は、すぐ私に対して「ブス」とか「デブ」とか言う。

 それを先生に言っても、先生は「気にしすぎ」とか言う。

 でも私が直接強い口調で「やめろ!」と言うと、先生は「そんな強い命令口調で言ってはいけません。相手を傷つけるでしょう」なんて言う。先に言ったのはアイツらなのに、私のことだけとがめて、後は放置だ。


 十歳の私は、理不尽に揉まれている。


 例えば母は私に、「女の子は男の子より力がないんだから」と言う。今は力の差がほとんど出ないかもしれないが、いずれそうなるのだと。だからどれだけスポーツをしても、男の子には勝てない、などと言うのだ。

 どうして最初から、羽をもぐようなことを言うんだろう。飛べなければ外に出ることも無く、事故に合わないとでも思っているんだろうか。


 理不尽にも反抗しない、弱くあれ、と頭を押さえつけられている。

 かならず、この押さえつけてくる何かを吹き飛ばしてやる。そう何時も涙を拭って、ジャングルジムの上から空を睨んでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【カクヨムコン参加】いつか飛び立てることが出来たなら 肥前ロンズ@「おはよう、サンテ」発売中 @misora2222

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ