堕天使の羽

いまい あり

白い羽、黒い羽…

 友人の佐和子がスピリチュアルに目覚めた。

とはいえ彼女にそんなパワーはない。

佐和子はお金大好き!人に迷惑をかけても平気な自己中の女だからだ。


小中学生の頃からいじめの的にされた。綺羅きらの一番嫌いな女だ。

佐和子から逃れるために隣県の高校、大学に通った。


縁が切れたと安心していたら、大学の近くのカフェで

偶然、佐和子に会ってしまった。


「あれっ綺羅じゃない?久しぶりね!


出会った瞬間から佐和子は意地悪な目つきとニヤついた表情で

近づいてきた。


何か企んでいる?またいじめられる?

心臓がバクバクする!忘れていた恐怖だった。


佐和子の隣には派手な服装の男性が立っていた。


「綺羅、ここで会った記念に彼を紹介してあげるわ。メンターの次彦つぐひこさん。」


「メンター?」

「あぁ知らないよね。スピリチュアル的なこと無関心だものね。」

「指導者みたいな意味だっけ?」

「へぇ~知ってるんだ。」

「まぁね…」


「佐和子はライトワーカー?スターシード?」


意味不明の言葉にとまどう佐和子。

スピリチュアルなネタを振ったくせに佐和子は何も知らなかった。


キョトン顔の佐和子の隣で次彦が

「佐和子はスターシードだよ。」


その一言を聞いた佐和子は

「そう!私はスターシードよ!」


きっと佐和子は意味も分からずに言っているのだろう。


まぁ今の私にはスターシードだろうがライトワーカーだろうが

どうでもいい。早く立ち去りたい!側にいるだけで吐き気がする。


「綺羅、せっかく再会記念に天使の羽買いなさいよ!」

「天使の羽?い、いらない…」


「幸運を招く最高の羽なのよ!再会記念だから特別価格の5万円でいいわ!」


「そんなお金持ってない…」

「やっぱり万年不幸な綺羅に幸運は不向きね!」


「佐和子。そんな言い方は失礼だよ。最高級の白は高価だが

最低レベルの黒い羽を無料で譲ってあげてはどうだい?」


「無料?綺羅に?勿体ない!」

「これは不良品だからお金貰っちゃダメですよ。」

そう言って次彦は黒い羽を私に手渡した。


佐和子は納得いかない顔だったが

次彦に促されて向かい側の通りに去って行った。


2人の姿が見えなくなってから、黒い羽が話かけてきた。

半信半疑で握った掌をみた。手の上には黒い羽をつけた小人がいた。


~その黒い羽は堕天使の羽。わかりやすくいうと悪魔の羽だ~

 お前、佐和子に復讐したいんだろう?~


心の奥底を見透かされたた様で怖くなって言葉が出ない。


~大丈夫だ。お前の望みはすぐに叶う。ほら~


通りの向こうを歩いている佐和子の方に暴走車が突っ込んできた。

その瞬間一緒にいた次彦はヒラリと天高く舞い上がり黒い羽を広げた。


驚いて立ち尽くしたままの綺羅をちらりと見た次彦は綺羅の前に降りて来て

話始めた。


佐和子はスターシード。異星から転生してこの地球に来たんだが

前の星で大罪を犯していたことが発覚してね処理命令が出てたんだ。

アナタも嫌な思いしたでしょ。もう大丈夫ですから。


それだけ言い捨てて、黒い羽を隠した次彦は雑踏に消えて行った。

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堕天使の羽 いまい あり @hinaiori

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