十羽の

大黒天半太

十羽

「十羽も鶏を使った一つの唐揚げって、大きいんでしょうね。普通の唐揚げより美味しいのかしら?」


 隆雄たかおは、薫子かおるこの無邪気なおしゃべりに過剰に反応しツッコミを入れた。


「薫子さん、それは十羽一唐揚げじっぱひとからあげではなくて、十把一絡げじっぱひとからげでは? 善し悪しの判断抜きにいろいろなものを無差別に一まとめにすることで、いい意味ではあまり使われない言葉だし、そもそも鶏十羽分の唐揚げの塊って意味では無いですよ。また、誰かにからかわれたか、担がれたんじゃないですか?」


「またまたぁ、隆雄君が言うとホントに私が騙されてるみたいじゃない。教えてくれた私のお友達に失礼よ」


 薫子を担いでいるのは、彼女の友人達であるらしい。それを友人と言って良いのかどうかには、疑問を感じる隆雄だが、彼女の認識ではそうなのだ。


「十羽分の唐揚げって、ニワトリどころかウズラでも相当大量になりますし、一つにまとまってる唐揚げとか は、スズメホオジロでも、十羽では結構難しいかもしれませんよ」


 薫子と薫子の言うご友人達の話す、十羽一唐揚げじっぱひとからあげは、スズメホオジロを使ったとしても、机上の空論、画餅絵に描いた餅、実現不能である。


 と思うのと同時並行で、薫子に「食べてみたい、見てみたい」と言われたら、どう作るかを考えている隆雄・恋する十七歳男子であった。

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十羽の 大黒天半太 @count_otacken

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