三国志無双風 女性軍師モード

転生OLが「女軍師」として曹操に仕える――そんな突飛な導入から始まる本作。
物語が進むにつれ、乙女ゲー風のキャラクターイベント、三国志の戦場再現、転生知識を使った介入が丁寧に積み重ねられ、読み手を自然に引き込んでいきます。

序盤は読みにくさを感じましたが、中盤以降は安定して物語世界に没入できます。夏侯惇との命がけの攻防、司馬懿の怪しさ全開の登場、そして何より荀彧が「転生の秘密」を知っていたと告白する第30~31話は、本作が単なる戦記やラブコメを越えて、「異物としてこの世界に生きる少女の孤独と居場所」というテーマに踏み込む転機になっていました。

三国志という大河に、ゲーム的な軽さと少女小説的な温度を重ね合わせた独自の作品。
読み進めるほど、史実と創作の狭間で揺れる甄嘉の存在感が強くなっていきます。

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