第6話

戸惑う私を見てため息をつかれてしまった。



「……ごめん」


「なんで謝るんですか?

それっていわゆるヤキモチですよね。


私いま、泣きそうな程嬉しいです!」



私の発言に瞬きをした空さん。



「あの、ごめんなさい。


確かに私は陽お兄様に触られた時、少しトキメいてしまいました。


様付もあっさりできて、なんかキモいな自分と思ったのも事実です。


だけど私は空さんのが好きです」



は、恥ずかしい……!

好きとか言ってるよ、私!



「……好き?」



頷いた私を見て、優しく笑った空さん。



「あと梅ちゃんさ、この体勢についてはノーコメントなんだね」



そう言われて気付く。


これ、私が颯太さんに寝技かけられる直前に、一回なる体勢だ!



「でも空さんは確か私の記憶が正しければ、プロレスは好きではなかったと!!


「……え?」


「怒らせてしまいすみません!


でも、あのっ、私、本当に関節系の技はムリでっ、」



そう弁解していたら唇が重なった。

頭フリーズ。



「……梅ちゃんて、」


「……へ、」



「アホだよね」



色っぽい声で言われて恥ずかしくなって手で顔隠そうとしたら、空さんの指と私の指が絡まる。



「……あ、……え?」


「可愛い」



そして再び重なる唇。


眼鏡を外されてなんか、いっぱいキスされた。

苦しくなって、ドキドキして、味わったことない感覚。


私……、死ぬかもしれない……!



「あの、そ、空さんっ、」


「はい」


「心臓って破裂しますか?!


私、いまちょっと、なんか、死ぬかもしれないって、いうかっ、」



「死なないから平気」



あぁ、平気なのか。


……本当に?本当に平気?

だって17年生きてて、こんなにドキドキしたことないよっ?!



「そ、空さん、」



そして再び唇が重なろうとした時。





「アニキアニキアニキ!まじヤベーんだけどっ!!今日たーぬんとゴンキ行ったらマジ優羽にそっくりな女いてよ!メアドゲットした!俺かなり頑張っ-」



シーンと流れる沈黙。ボトッと落ちる鞄。



「……え?うえぇぇえぇーっ?!」



そして響く絶叫。

空さんはゆっくりと私の上からどく。



「ちょっ、えっ?!アニキ……、えっ?!

だれそのみつあみ?!」


指をさされて頭を下げるがシカトされた。


「俺のカノ、」


「彼女?!はっ?!アニキの?!


なにそれ、うざっ!俺のアニキに手出すなよ、ブス!」



ひ、ひどい……!ブスって言われた……!



「九条梅ちゃん。お前とタメだぞ。

ブスとか言うな。可愛い」


「タメ?!はぁ?!地味っ!

こんなフツーな女、アニキに相応しくねぇよ!別れろっ、ブス!」



……しかし私には魔法の呪文が残ってる!


陽お兄様の時は実際これで解決したもんね!



「私、兄弟の名前言えます!

陽兄、瑠璃姉、空、こうさ-」



「だからなんだよ!さっさとでてけ!」



落ち込む私を見て苦笑する空さん。


……カレの家族全員に認めてもらうのはちょっとムリそうです。







2011.11.26

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ダーリンブラザーズ 斗花 @touka_lalala

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