第十三話 追われる身

第十三話 追われる身


第一章 反撃


都市のネオンが霞む夜。イーグルチームは敵の包囲をかいくぐり、身を潜めていた。


「富裕層の連中、ついに本気を出してきたな…」


イーグルが呟く。


「マッドが動いてる。私たちのシステムを次々に潰してる」


ノバァの電子音声が響く。彼はAIであり、チームの頭脳でもあった。そのノバァを操作するチェンが苛立った表情で端末を叩く。


「くそっ、こっちの回線が全部遮断されてる。ノバァの機能もほぼ封じられた」


「マッド、思った以上に厄介だな」


カールが険しい表情を見せた。彼は天才ハッカーだったが、今回ばかりは相手が悪すぎる。


「まずいな…このままだと完全に追い詰められるぞ」


その時だった。


「フフ…逃げるのはもう終わりにしたらどうだ?」


細身の男が彼らの前に立ちはだかった。黒いコートを翻し、鋭い眼光を放つ。手には細身のレイピア。


「俺の名はクラウス。貴様らにはここで消えてもらう」


「剣士か…?」


イーグルは相手の装いを見て眉をひそめた。


「フン、剣術の格というものを見せてやる」


クラウスは一瞬で間合いを詰めると、レイピアを突き出した。


第二章 カウンター


クラウスの剣がイーグルの顔すれすれをかすめる。


「おいおい、冗談だろ」


イーグルはすばやく後退しながら呟いた。クラウスの動きはまるで風のようだった。


「どうした?貴様のような野蛮な戦い方では私には勝てんぞ」


「野蛮ねぇ…」


イーグルは地面に転がっていた一本の木刀を拾った。


「フェンシング相手に木刀か?笑わせる」


「ふっ、剣ならこっちはこれでいくぜ」


クラウスは鼻で笑ったが、次の瞬間、イーグルが鋭く踏み込んだ。


バチィン!


鋭い音とともに、木刀がクラウスのレイピアを打ち砕いた。


「なっ…!?」


「言ったろ、やってみなきゃわからねぇってよ」


クラウスが愕然とする間もなく、イーグルの一撃が彼の肩を捉え、地面に叩き伏せた。


「ぐっ…」


「悪いが、今はお前に構ってる暇はねぇ」


イーグルは木刀を持ったままチェンの元へ走る。


「ノバァ!マッドを止めるぞ!」


「マッドのコアはあの配電盤の中よ。でも、手を出したら高圧電流でやられる!」


「関係ねぇ!」


イーグルは助走をつけ、木刀を振りかぶる。


「おらぁっ!!」


木刀が配電盤に直撃し、火花が散る。


「……マッドの機能が低下してる!」


チェンが叫んだ。


「この隙にデータを回収する!」


カールが端末を操作し、システムへ侵入。


「よし、アクセス成功!…くそっ、時間がない!」


イーグルはさらにもう一撃を叩き込み、マッドを完全に沈黙させた。


「ドローンの監視が止まったわ!」


「今のうちに隠れるぞ!」


イーグルチームは闇へと消え、敵の攻撃は一端止まった。


(つづく)

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AI探偵イーグルチーム @eichan4

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