斬一倍シリーズ第二段! 今回は「必殺」?
- ★★★ Excellent!!!
「火星の達人」斬一倍シリーズの第二段である。
SF的な設定を背景に時代劇風の人間模様とバトルが展開するのは前回と同じ。
しかし今回のほうがよりハードボイルド味が増していると思った。
今回の敵役盗賊の元次は奉行に兄を殺され復讐に燃えている。
元次は役人やその妻を殺して奉行の長谷川(平蔵?)を追い詰める。
元次は人を殺して悔いない悪党だが義理人情もわきまえていて不遇の浪人「黒手」を厚遇で雇ったりする。
この黒手が軍をやめたきっかけが天草の少年兵を戦闘で殺したからだが、これは島原の乱で幕府軍と戦った切支丹軍の故事を連想させる。
体制側だけでなくレジスタンスにも注目するのは鷲巣先生の特徴と思う。
元次は自分を弱者と思っていて「恵まれない自分たちは富める者から何を奪ってもいい」と思っている。
これは昨今流行りの闇バイトの思想とまったく同じですごいと思う。
しかし鷲巣先生は「悪」に甘くない。
この「注目するが容赦はしない」のも鷲巣先生の持ち味と思う。
斬一倍の相棒ゴンゲンは自分たちは地獄へ行くと確信している。
このゴンゲンのキャラがさらに作品の陰影を濃くしている。
主役が単純に「正義の味方」といえなくなっている。
そこらへんのテイストが藤田まことが主演した『必殺』シリーズに似ていて楽しかった。
時代劇ファンはもちろんハードボイルド好きにもおすすめしたい快作です。