俺は場末ダンジョンの転生魔犬!本能なんかに絶対、負けん!(キリッ)
ライデン
第1話転生したら目の前に血と人骨が散乱してちるのですけど
クンクン
目が覚めると、俺は血生臭くジメジメした場所にいた。
グー
そして、その匂いを嗅ぐとお腹がなった。
(あー、血の滴るような熱々のステーキが食いてぇなぁ)
鉄板の上でジュウジュウ音を立てている熱々のステーキ! そいつをフォークとナイフで切り分けて口いっぱいに頬張って、やけどしそうになったら、キンキンに冷えたビールをジョッキでグィっと……
(仕事におわれて…そんな贅沢、もう何年もしてねぇ)
時間がない。お金も。
寝ぼけ眼でそんなことを考えているのだが……
眼の前にあったのは、複数の人間の頭蓋骨? 背骨? 肋骨? 乾いた血のあと?etcetc
(なんだ、この状況!?)
俺、昨日、仕事から帰ってすぐに倒れ込むようにベッドにダイブして気絶するが如く意識を失ったはずだ。
俺の部屋が暗くジメジメしててキノコが生えそうなのはわかるとして……。いや、人として分かりたくないが。
人骨!? 血が乾いたあと?? 血が乾いたあとはそんなに古くない。
[解。あなたは魔犬に転生しました。ここは、
は!?
何処からツッコんだらいいの??
とりあえず……
「君は誰?」
解って……えらく典型的な機械音でスラスラと解説してくれたけど。
あと、人をムシャムシャと食い散らかしたって……記憶に微塵もございませんが。いくら晩飯を作るのがめんどくさかったからといって、俺が人肉をムシャムシャと食い散らかした!?
(ないわー。ないない)
って、魔犬に転生? ダンジョン??
[私は“天の声”。名前は、まだありません]
元ネタは、“吾輩は、猫である。名前は、まだない”ですね。わかります。
「“
名前をつけてほしそうにこっちを見ている気がしたので、提案してみた。
[……“天ちゃん”。天と書いて“そら”がいいです]
“天の声”が自分につけられた名前に不満を言ったー!(驚)
[あと……]
「ん?」
「起きたら、歯を磨くことをオススメします。歯磨きせずに寝てしまっていたので。そのままだと虫歯になってしまいます]
寝起きに歯磨きを勧めてくる天の声。虫歯の心配もしてくれたー! 嫁さんか? それとも俺のオカンかなにか、か??
「歯磨き? 歯ブラシはどこ? コップは? 歯磨き粉は? 洗面台は? “そらちゃん”が出してくれたりする??」
そんなもの、どこにも見当たり ませんけども。
[NO、犬の歯磨きは、“骨をかじること”です]
ああ、そうでしたね。
昔はスーパーとかで牛の骨をただで配布してくれていたから母親がテールスープとか作ったあとに俺が飼い犬に煮込んだあとの骨をやってたわ。
歯磨きというか、おやつ的な感覚でブンブン尻尾をふりながら美味しそうにガジガジやってたなぁ。
いつから牛の骨、タダでもえなくなったんだろう? そういや、牛脂もただでもらえなくなったよな。牛脂でつくる卵チャーハン、超簡単でそこそこ美味いのになー。
「ハッハッハッ」
なんか自分の呼吸が荒くなった?
そして、意図せず足が一歩ずつ前に??
口からは、よだれも垂れそう。
(なんで身体が勝手に動く?)
それから。手頃なサイズの人骨をパクっとくわえて元の位置に戻る。
そして…
ガリッ
その骨に思いっきり歯を立てた。
(あー、なんか幸せ! 日頃のストレスが癒されるぅ)
ガシガシ人骨をかじりながら、尻尾をブンブン振る俺。
[解。魔犬に成り下がったあなたは、脳における大脳皮質の比率も著しく下がっています]
「つまり?」
“成り下がった”って、表現ひでぇ。口が悪いよ“そらちゃん”!
[あなたは、本能に極端に抗いにくくなっているのです]
「ふーん」
そして。俺はいろいろと考えることをやめて魔犬の本能に忠実に生きることにした。
あー……場末ダンジョンの死体とか血って…スライムとか魔犬とかが本能の赴くままに食事として片付けるのか💦 知りたくなかった。
人間、怖い。←もはや、“饅頭、怖い”と同義。
俺は場末ダンジョンの転生魔犬!本能なんかに絶対、負けん!(キリッ) ライデン @Raidenasasin
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