人類に与えられる、かつてない「豊かさ」。そのパズルのピースが示す絵は?

 ミステリーとしてもホラーとしても楽しむことのできる作品でした。

 ある時、世界に大きな「変化」が訪れた。
 食糧難で苦しんでいた世界中の人類のもとに、「過不足のない食糧」がどこかから届けられることになる。おかげで食べることには苦労しなくなり、世の中は大きく変わって行く。

 人類は豊かになり、必要最小限度の生活が完全に保証される。

 果たして、この現象の意味はなんなのか。

 途中で出てくる「ある男」の話を通し、「これは……」と思わされる描写が。
 あくまでも作中では「パズルのピース」のみを提示して終わるところが、非常に巧いと思いました。ピースを組み立てて「一つの絵」を完成させた読者は、そこで見えてくる光景を前に、ただ言葉を失うことになります。

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