難題
風馬
第1話
まったく、なんていう課題なんだよ。
「薔薇色」って。
そもそも、どんな色なんだ。
何色にもなる?いや、なれるか。
俺は、無名で、何のとりえも無い作家なんだよ。
大体一生懸命書いたところで、誰も見向きもしてくれないし、まず、見られるってところまで届いてない石ころよりも小さい砂粒のような作家なんだよ。
まぁ俺が応募したところで、今回も受賞された作品を彩る応募作品の数に1が加算されるだけのことなんだろうけど。
まぁ、駄目だけど、駄目なりに考えてはみるか。
バラは、花だ。
幾重にも花びらが重なるとてもきれいな花だ。
花を支える茎には棘もある。
そもそも、何でバラには棘があるんだ。
調べてみるか。
…。
葉や茎を食べられないように、進化の過程で得られた「防衛メカニズム」ねぇ。
食べる動物なんているのかな?
棘があったら痛いだろうに。
…。
鹿、ウサギ、ヤギ、羊、アブラムシ、ゾウムシ。
結構いるじゃねぇか。
どいつもこいつも、棘関係なしに食ってるし。
棘…可哀想に、折角進化して自分を守ろうとして作り上げたのに食ってるやつには見えてないみたいだな。
俺みたいだな。
あぁ、そうだった、バラだったな。
バラ、バラ、バラ…と。
そう言えば、さくらもバラ科だもんな。
関係ないな。
バラねぇ…。
うーん。
花の女王ねぇ。
女王ってなら、王様はいるのかな?
牡丹ねぇ。
バラも牡丹も花びらが多いな。
花びらが多ければ、王様になれるのかね。
牡丹とバラを掛け合わすことが出来るんなら、面白いかもしれないけど、どうなんだろうなぁ。
あ、課題はバラじゃなくって、薔薇色だったな。
薔薇色。
…。
ピンク色や赤みがかったピンクか。
希望に満ちた人生、未来が明るくポジティブねぇ。
少なくとも今の俺の色じゃねぇな。
希望が干からびた人生、未来が暗くネガティブだよ。
調べれば、調べるほど何だか虚しくなってくるな。
今まで、調べてみたものを俺なりに解釈してみるか。
バラには棘が有るけど、棘は意味が無い。
薔薇色はピンクっぽい色で、幸せ色。
ん?
幸せ色って良いな。
これ、良くない?
これなら、書けそうだぞ。
幸せ色
僕はまだ誰にも感じられていない作家だ。
謂わば空気のような存在。
そんな僕にも夢がある。
いつの日か僕の作品が世界中の人々の記憶に残り続けるような作品を書くことだ。
そんな作品はどんな作品が良いんだろう。
僕の人生を描いても寂しくてつまらないだろうし、とても、外国の映画のように壮大な物語を書くことなんて出来ない。
でも、創造は自由だ。
つまらなくても、壮大でなくても、記憶には残すことが出来るかもしれない。
謂わば、ここはキャンバスだ。
白色のキャンバスに、文字を記すことで、読む人の想像を作り出すキャンバス。
それは、読む人ごとに違う薔薇色のキャンバスだ。
さて、何を紡ごう。
そう考えているときの僕の心は幸せ色だ。
あれ?
薔薇色…。
なんで…。
自然に出てきたな?
薔薇色のキャンバスなんて、俺の脳のどこにあったんだか。
でも、きっと、バラの棘のようにきっと、他の作品の彩の一つにしかならないんだろうな。
みんな同じ薔薇色のキャンバスに書き上げたはずなのに。
難題 風馬 @pervect0731
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