日常の中で見つけた違和感。そうして踏み込んでいった先には……

 序盤からとても「好奇心」をくすぐられる作品でした。

 なぜか、カラスが大量に集まっている場所を見つけた主人公。そこには一体何があるんだろうと、どうしても心を惹かれて仕方ない。

 そうして確かめようと踏み込んでいくと……。

 この主人公の陥った感覚は、本作を読み進めて行こうとする読者の心情ともリンクしていくように感じられました。「好奇心」がきっかけとして、「どう見てもホラーな場所なのに先を見たいと思ってしまう」という感覚。

 そうして辿り着いた先にあるものは一体何か。
 主人公の語りが淡々としていて、それが好奇心、怖い物見たさを刺激した先でじわじわと読者の心を侵食していきます。

 短い中でも強いインパクトと満足感の得られる作品でした。

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