【カクヨムコン参加】星流しとかぐや姫

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お題 帰る

 恋人と喧嘩した。

 ムシャクシャしたので、地球に行くことにした。

 紀元2300年。人類は宇宙に飛び出し、今じゃ地球だけじゃなくて、あちこちの星で定住している。

 私は地球から10光年ほど遠い星で生まれ育ったが、父方の祖父母が暮らしていたこともあって、何かと地球に縁があった。


 何度かワープを繰り返し、太陽系へとたどり着く。

 遠くで星々が輝く中、青い地球とともに、灰色に浮かぶ月が見える。

 地球と付かず離れずに回る月。

 そう言えば以前、おばあちゃんから月からやって来たお姫様の話を聞いたことがある。竹から生まれたお姫様は、大きくなって色んな人に求婚されるけど、ある日月の住人であると告白して帰っていく話だ。

 そのお姫様は、罪を犯して地球に流されてきたらしい。


 何だか、昔の話とはとても思えない。

 島流しならぬ星流しの世代は、約100年前にあった。

 マイノリティを理由に、政治的に邪魔者扱いされたもの、迫害を受けて星に降ろされたもの。過酷な宇宙開発の最前線に置かれたものは、富裕層から中級階層の生活のために搾取され続けた。

 その禍根は、三世代近く経った私たちにも残っている。


 地球は嫌いじゃない。

 けれど、地球に住む人々が、生粋の他星出身の私を受け入れてくれるかは、また別で。

 特に父方の祖父は、私を可愛がりはしたけれど、罪人の子である母と父が結婚するのを、最後まで許さなかったという。


 かぐや姫は月に戻って、受け入れられたのだろうか。

 かつて「月の都」があるとされたそこは、今じゃ人類の庭。丸いドームの中に、酸素と水素と窒素が詰め込まれている。最初の宇宙飛行士アストロ・ノートが立ち入ったことで、神秘はとうに薄れた何も無かったでこぼこの星。


 ――けれども、この地球と月を見た時、どうしようもなく、懐かしさが涙と一緒に込み上げてくる。

 それはDNAに刻まれた人類の記憶なのか、それとも子どもの頃、わずかに優しく接してもらった記憶ゆえなのか。


 さて、地球に帰ろうか。

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