帰ろう……自分の家に。

黒羽冥

第1話、時には帰ろう……そう思ったんだ。

『そりゃあ………帰るさ。』


俺は電話相手にそう告げる。


『本当に!?アンタそう言って去年も帰って来なかったんだからね?』

『ああ……わかってる……今年は帰るさ。』


俺はそう告げ……電話をきったんだ。

電話の相手は幼なじみの『ゆき』。

生まれた時から一人だった俺。

孤児院に引き取られた俺だったが……偶然幼なじみの、ゆきの両親に俺は引き取ってもらったんだ。

俺は学業を終えると……ゆきの家を出て、某会社に入社し仕事に着いていた。

それからは一人で暮らしている。

理由は……やはり………これ以上負担をかけたくなかったんだ…………。

そして今はこの本当の両親とゆきに恩返しをしていきたかったからだ。

俺は自宅へと帰ってきていた。

ソファーへと深く腰掛ける。

煙草に火をつけ……ふぅーーーーーーっと吐き出す。

そして俺の脳裏に浮かんだ言葉。


『今年は帰ってきなさいよ?』


ゆきの言葉。

本当の兄妹のように過ごしてきた思い出を思い出していた。

そして彼女の両親もまた……俺に深い愛情をくれた。

家族ってのを教えてもらったもんな。


「今年くらいは………なにか買っていくか。」


俺はそう呟いた。

就寝した俺は。

今日久しぶりに家に帰る。

家族に会える事がこんなに緊張して………そして………嬉しかった。

俺は見上げを買う店の前の横断歩道に差し掛かる。

赤信号で停止している人々。

年末だから……皆忙しそうだ。

俺が信号を待っていると。

向こうから少年が一人……。


(ん!?渡ろうとしてるのか?まさか……な。)


俺は胸騒ぎがしていた。

すると。

飛び出してくる少年!!

辺りの皆が叫ぶ。

その時。一台の車が走ってくる。

前が見えてないのか

車のスピードは止まらない。

まさか………。

気がつくと………………俺は飛び出していた。

少年を押し出した手の感覚はあった。

次の瞬間。

ドンッという衝撃の痛み……そして全身に激しい痛みを感じた。

ドサッと落ちた俺の身体。

辺りに叫び声が聞こえていた。

そして救急車とパトカーのサイレン音が聞こえてきた。

俺の目には空が見えていた。


(ああ………帰るって言ったのにな……………………。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

帰ろう……自分の家に。 黒羽冥 @kuroha-mei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ