ハッと気づかされる普遍

幕開けはビジネスホテル。

老若男女、いろんなお客がいますよね。
ビジネスパーソンや地元の人、お籠りステイ……他には泊まっていない商売筋もいたりして。
とにかく全員に経緯があり、人生がある。

当然のことではあるものの、頭によぎることは少ない。
すれ違っていても背景として捉え、声をかけるなんて滅多にない。だって、ホテルのサービスだけで十分なので。
そんな無味乾燥さが、舞台にマッチしています。

ですが、実はどこでも同じこと。
いつだって人は、自分が引いた境界線の中で生きていますから。

丁寧に掘り下げられた二人の主人公を中心に浮き彫りにされる、人と人との境界線。

それは目には見えない、あやふやなもの。
些細なきっかけで動き、近づいたり離れたり。
敷地とは違い、一意に測量できやしない。

だから悩む、だから喜ぶ。

読んだらきっと、動き出したくなると思いますよ。

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