ビジネスホテルでの点在生活を送る若き測量士坂東晃鷹が、事情があって家出していた少女加藤凪咲と出会い、物語が動き出す。
加藤凪咲は、義理の兄の好意を断ったが、それをきっかけに義理兄は荒れてしまった。
それを自分のせいだと思い悩み、金を渡したり、職場で恋人が出来たのに、彼の両親に反対されて別れることになるなど、散々な目にあったため、自宅を飛び出し、ネカフェで過ごす毎日になっていた。
感想:晃鷹と凪咲、どちらも過去に恋人にフラれた同士、定住地をもたないという共通点があり、凪咲がストーカーじみた男に絡まれていたところを助けた縁で繋がりができ、そこからお互いを知って、少しずつ惹かれ合う描写がお見事!
オススメです💖
幕開けはビジネスホテル。
老若男女、いろんなお客がいますよね。
ビジネスパーソンや地元の人、お籠りステイ……他には泊まっていない商売筋もいたりして。
とにかく全員に経緯があり、人生がある。
当然のことではあるものの、頭によぎることは少ない。
すれ違っていても背景として捉え、声をかけるなんて滅多にない。だって、ホテルのサービスだけで十分なので。
そんな無味乾燥さが、舞台にマッチしています。
ですが、実はどこでも同じこと。
いつだって人は、自分が引いた境界線の中で生きていますから。
丁寧に掘り下げられた二人の主人公を中心に浮き彫りにされる、人と人との境界線。
それは目には見えない、あやふやなもの。
些細なきっかけで動き、近づいたり離れたり。
敷地とは違い、一意に測量できやしない。
だから悩む、だから喜ぶ。
読んだらきっと、動き出したくなると思いますよ。