第5話 憧れ
散々、話をして、それでも、まだまだ話足りないと感じながらも、睡魔には勝てず、ルミとなおみは、お互い寝落ちしてしまった、、、、、。
チュンチュンチュン、、、
小鳥のさえずりで、なおみは目を覚ました。
ふと、横を見たら、まだ、ルミはタオルケットを頭まで、かぶり寝ていた。
モソモソしているなおみの気配でルミも、目を覚ました。
おはよう☀
二人は、どちらからともなく声を掛け合い微笑した。
楽しい時間だ♥
ルミがおもむろに、起きあがりながら
『なぁ、なおみちゃん? 今日な、ルキアさんとこ、行ってみいひんか???』と突然言い出した。
ルキアさんて、誰?! 何者?!』
『有名な、霊能者さんやで! ここで、あるワークをしたら願い叶うんや!!
アタシもな、商売繁盛願うて行ったことあんねん、
そしたら一発で効果あったわ‼️』
『エーっ?! 一発で叶う〜っ??
それはそれは、また、魅力的な話やね!
行こう‼️ 私、そういうのだーいすき🩷』
と、即、話は、決まり今日の計画に組み込まれた。
お互いにスピリチュアル大好き人間同士。
トントン拍子に事が進む。
早速、ルミは、ルキアに電話予約を入れると、サクッと夕方に、二人一緒の時間が取れた。
『ルキア』とは、スピリチュアルリーダーとして地元では名高い霊能者だという。
カードリーディングや、宝石占い🔮、神社ツアーなどのイベントも多種多様に行っている。
ルミも、なおみも、朝食は食べなくてもよい主義だった。だから、
朝、昼、兼用で、早めにランチに行って、それから、場所を変えてお茶しながら、ルキアに行く時間までゆっくり2人で今日も話て過ごそう♥
なおみは早速聞いてみた。
『ルミちゃん、ルキアに何をみて貰って、どんな風に叶ったのー?? 気になるぅ〜!!』
『あんなー、ココで美容室開いてても、波があんねん。 立て続けにお客さん来てくれはる時と、全く客がない日があってなー
それがな、、、
ルキアさんに相談したら、近所に建ってた美容室が、つぶれてな、、、なんや、病気で亡くなりはったんや。 その客が、うちに、一気に流れこんできたんや、、、。
これには、ビックリしたでぇー』😤
『売上、上がったの? そこは、良かったじゃん』
『せやな❣ けど、今度は、身体がしんどいわな(笑)😂
アタシ一人で、この店キリモリしよるからな』
ルミは、心底、霊能者を信じきっていた。ここまで、純粋に見えないものの世界を信じきれるルミに、なおみは憧れをもったが、何より、その行動力と、
行動を起こす前の原動力に圧倒されっ放しだったのだ。
ルミは、一発で叶う‼️と、豪語しているが、
今までの人生で、立ち行かなくなることも、数々あったはずだ。
叶うことも。
叶わないことも。
あらゆることを四方八方に、手を出し、やってみて、必死に働くルミが頼もしく、人生の醍醐味を思いっきり謳歌しているように見えた。
『で、ルミちゃん、ルキアでどんな事したん?』
『マイ神社ってのを捜してもらうんや❣
ルキアに頼んたら、3日間かけて捜してくれはる。
人間にはな、一人に一人、必ず自分だけの神様が産まれた時から、ついてはるんやて!
でなぁ〜、マイ神社がその神様と自分とのデートスポットになるんや😉
自分が産まれて初めて行った初参神社に毎日100日間、願掛けに行くのんや』
『俗に言うお百度参りやね!?』
ドライブしながら、ルミと、なおみは、そんな話に華を咲かせていた。
楽しかった。✨
こんなスピリチュアル的な話を聞かせてくれる人は、なおみの人生の中で居なかった。
宗教か、あるいは、怪しげな勧誘めいた所なら、あるにはあったが、どれも、
『騙されんように』との警告とともに眉をひそめながら聞かされる話ばかりだったのだ。
やがて、ルミが案内してくれたオシャレな店についた。
そこは、雑木林の中に、ひっそりとあるログハウス風の建物だった。
店内は広く、おまけに天井が高い為、かなり空間のゆとりを感じた。
その天井には大きい扇風機が設置され、ゆっくり回っていた。クーラーで室内はヒンヤリしていたが、広々とした空間とマッチして、さらに風情さを演出している。
窓ガラスも大きく、雑木林から差し込む、木漏れ日すら、しっかり抱き込むように陽の光がオレンジ色に輝いていて、部屋中、明るい雰囲気だった。
カウンター席と、テーブル席とが別れていて、
大きい窓の向こうには、緑葉樹の葉っぱが風に靡いているのが見えた。
木々からの爽やかな木漏れ日に吸い込まれるように、ルミと、なおみはカウンター席のほうに座った。
差し向かいでテーブル席に座るよりも、この店の大きい窓から見える、あまりにも美しい景色に2人とも魅せられてしまい、外の景色を観ながら話たくなったのだ。
ランチも、沢山の小鉢に色とりどりの果菜や肉、魚料理が、ちょっとづつ、品よく盛り付けられている。
どれも、少量づつだが、品数が多いのと、味の良さで、二人とも大満足だった。
景色、店の雰囲気、味、どれも最高だったが、
やはり、話が合う
『お連れ様』が側に居る。
自分の側に居てくれる。
これが何よりありがたい。なおみは、そう思った。
年下の彼氏に告白されて、運命をも自在にコントロールしていけているように見える、強いルミも、きっと今、幸せを感じているに違いない。
その強さが出来るまでには、神にすがり、見えない存在に手を合わせ、あらゆる事に挑戦してきたのだろう。
次に、二人で行く『ルキア』に期待を寄せながら、なおみは、ルミという女友達とのデートをかみしめていた。
場所を変え、ルキアの予約時間がくるまでの間、近くの茶店に入ってコーヒーを飲んでいた。
すると、ルミの携帯に
例の年下彼氏から電話がかかってきた。
ルミは、早口でとっさに言った。
『なおみちゃん、アタシが電話に出た後、彼と、なんか喋ってくれへん???』
そう言ったかと思うと、『ハイ、アタシや!』
と、電話に出たと思ったら、すばやく
なおみにポーンと携帯を渡したのだ。
いきなりの行為に、何を話してよいか、わからないまま、見たこともないルミの年下彼氏に
『初めまして、なおみと申します』とだけ伝えた。
彼のほうも、オウム返しのように、
『初めまして、迫田と申します』とだけ、答えた。
かなり、ぶっきらぼうに聞こえた。
すると、
ルミは、また、すばやく、なおみから携帯をとりあげ、
『今、女友達と一緒におんねん、また、連絡するわぁー』と彼に告げ、すぐに電話を切った。
『彼な、結構、ヤキモチやくねんで! こうやってアタシと一緒に居る人が、男か女か、確かめるとこ、あんねん!!』
『なおみちゃんが声聞かせてくれたから、安心やな(笑)😂』
そんなやりとりをしながら、例の
『ルキア』に向かった。
ルキアは、もっと、怪しげな演出が施された所かと思いきや、意外とシンプルで、普通過ぎるくらいフツーの小じんまりした一軒家だった。
家の前にも空地があり、そこには、アウディと、ベンツが2台デーンと置かれてある。
『コレ、ルキアさんのやで!! 車好きやからな!!』
ルミは、そう言いながら、ルキアの自宅のインターホンを鳴らした。
『お久しぶりですぅ~』
挨拶を済ませ部屋に通された。
『ハイ! いらっしゃい。』と、ハキハキした女性が
『ココに座って。 先ずはルミさんからね』と指示を出した。
40代半ばくらいの、髪を赤く染めた、気の強そうな女性だった。
この人が、ルキアさん、、、
なおみは、ルミがカウンセリングしてもらっている間、側で座っていたが、ルキアの事を観察する傍ら、部屋中をキョロキョロ見回していた。
部屋中、色とりどりの水晶が、所狭しと飾ってあり、ピンク色をした岩塩が至る所に置かれている。
その気配をルキアは、感じとったのか???
『この岩塩は、波動が悪い人が来るとすぐ、減るのよ!!😤』と、語尾荒く言った。
なおみは、ルキアと自分は、合わないかも知れないなーと、一瞬感じたが、ここまできたのだ!
もう、まな板の鯉。
そう、覚悟を決めた。
ルミは、例の、年下彼氏の件をルキアに相談している。
なんせ、まだ、不倫の状態。
彼が奥さんと戸籍上、キッパリと別れ、自分と籍を入れてくれて、一緒に住む。
これが、ルミの最大の願いなのだ。
一緒に住む事は大切だが、それよりも、
『籍を入れる‼️』
これがルミの一番の願いなのだ。
今まで事実婚の関係で家庭を持っていた為、
『正式な妻』という座に、憧れがあるようだ。
あ、こ、が、れ
というより、執着といったほうが合っているかもしれない。
以前、なおみは、ルミからこんな話を、聞いた事がある。
内縁の妻の身だったから、ずっと、孤独を感じてきた。
正式な妻という証の、戸籍も無い。
親族が集まる『法事』にも憧れがある。
先輩に当たる『姑』と呼べる人と一緒に、台所に立って料理を習ったり、親戚とワイワイ集まって、料理をしながら、会話が出来る環境に憧れているのだ。と、、、
ギョエーッ‼️
なおみは、驚いた‼️ この考えには、心底驚いた。
そして、今までの自分の固定概念を恥じた。
いえ、恥じることではなく、考え方や、捉え方の違いなのだ。
そう、思いなおしながら、それでも、他人との思考の違いを驚きながら、面白味を味わった瞬間である。
嫁姑の本音が言えない確執や、煩わしい親戚付き合いや、しがらみがなければ、どんなに生きやすいだろう、、、と、自分の上手くいかなかった結婚生活時代を思い返すと、
ルミのような、捉え方の人が、この世に存在すること事態、なおみにとっては、不思議なのだ。
経験がないからこそ、逆に憧れになる。といった捉え方も出来る。
なおみが『恐怖』と、感じている家族間の行事ごとに対してルミは、『楽しい憧れ』を持っているのだから。
ルキアは、相変わらずキツイ口調で、カウンセリングを続けている。
『ルミさん達は、ツインレイです。 ただの恋愛ごときでココに訪れているんじゃあありません‼️
あなたは、魂を磨く為に、ココに来ているのです‼️』
そう、一喝したかと思うと、
今度は、急に、優しい口調になり、
『彼の家庭は、ルミさんに会う前に、もう、崩壊していたからね、、、今回は、略奪愛ではないからね、、、』
ルミは、これを聞いてホッとしただろうか???
いいえ、
ルミなら、例え、天罰が下る‼️と言われようが、自分のものにするまで、諦めないだろう、、、
今までの、ルミからの経緯をきかされた、なおみは、そういった、ルミの強さが好きなのだ。
世の中のモラルは、確かに大切だ。
だが、それをも、越えて罰を被ろうとも、どこまでも、自分の『本音』を徹底的に大切にする。
このルミを通して、なおみは、自分の今までの在り方が、
果たして本気だったかどうか、改めて考えさせられるのだった。
ルキアはのちに、神社ツアーとして、
『本気の参拝』といった名目で、ルミを連れグループ神社巡りをした内容をFacebookに上げていた。
『本気』とは、
例え自分に天罰や呪いが加わろうが、自分の生き方に覚悟と、責任を持つ
という事を、なおみはルミの背中から学んでいた。
ルミの相談が一通り終わり、なおみの番が来た。
なおみは、自分だけのMy神社の場所を教えて欲しかった。知っておくと、心強いと思ったからだ。
現住所と、出生地、記憶にあれば初参りした神社
を告げるのみだったから、なおみの相談事
は事務的にすぐに終わった。
それから、ルキアを出て、空港までルミに送ってもらい、その日の最終便で帰った。
あとは、自分の信念を曲げず、どこまで行動するかだ。
自分の未来図の結果を意図的に創造する。
やってみると、これが意外に難しい。
どうやって、、、こんなこと、叶うんだ???
やっぱりムリムリ‼️ もっと、望みを下げよう、、、などという声が、どこからともなく聞こえてくる。
いいえ、ルミというお手本が居るではないか‼️
なおみは、そう自分に言い聞かせるように鼓舞した。
一途な信念、岩をも通す‼️
ルミちゃん、ありがとう♥
あなたは、信念の力と、行動力で願いを叶える様を、しっかりと、私に見せてくれたヒトだ。
それから、1年も、たたない内に、ルミは、例の年下彼氏と同棲するようになっていた。
彼氏の奥さんは、家を出ていったが、彼氏の両親は、ルミの事を受けいれてはいない。
年齢差があるし、色ボケ女と言われてしまった。と、落ちこんでいた。
それで、ルミの家に彼氏が来て一緒に住んでいたのだ。
なおみは、電話で聞いてみた。
『ルミちゃん、今、しあわせ???』
『せやな! 彼が側におるからな♥』
『籍は入れたの???』
『まだや! 彼の両親がなかなか、認めてくれへんからな、、、
せやけど、もう、お互いエエ歳やし、親の同意より自分達の幸せや!!
でもなー、ルキアさんに、言われたわー
籍! 籍!て、こだわるとやがて執着になるてぇー
執着って、なかなか叶わんエネルギーらしいで‼️』
そう明るく笑いながら、今日もルミは、たくましく過ごしていた。
例え、どんな反対や困難に合おうとも、ルミ、、、あなたなら、必ず、欲しい夢を叶えるでしょう、、、
複雑恋愛を幾度も越えた、ルミの経緯に心からエールを送る❢
よく、痛みに耐え、頑張ったね、ルミちゃん。
あなたは、私に、『したたかさ』を見せてくれた、忘れられないヒト。ありがとう♥
完
忘れられないヒト(第1章 出逢い) @lovejoy3753
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