第3話 えーこれは重症です


「え? 本当に?」




「はい、いつ行けばいいですか?」




「えーっと、来れる時で良いよ」




「じゃあ、3日後の昼位には訪ねますね」




「う、うん....」




「だとしても朝早くからこんな電話掛けなくていいよ、貴女も眠いでしょ?」




「す、すみません、今後気を付けます」




「取り敢えず行きますから!」




ピッ




 これ、大丈夫か?




「まさかとは思ったけどさ....」




「にしても決断するのが早すぎる....どういう事?」




 何か意図があって言っているのか、それとも....いや、あんな良い子そうなのに限ってあり得ないよね? うーん? いや、待てよ? 昨日喋ってみてわかった事だけど、あれ絶対全部あんな感じで対応してるって事なんじゃないかな....だとしたらちょっと猪突猛進過ぎて私心配になってくるよ?




「まぁでも来るようだし、気長に待ってみるか」




「こちらとしても決めてもらえるのは嬉しい事だからね」




〜3日後




ピンポーン




「今出まーす」




ガチャッ




「お!来たね」




「はい、それで内容というのは?」




「まぁまぁ、ゆっくり中で話しましょうか」




スタスタ




「取り敢えずさ、5対5のチーム戦って事は知ってるでしょ?」




「はい」




「じゃあ言うけど、本当に入るんだね?」




「は、はい、その為に来ましたから!」




「いいね、その返事、じゃあ適当なとこ座って、話す事沢山あるから」




「はい」




どうしよ...今になって緊張してきちゃった、決めたのは自分なのに、これからどうなるんだろ....




「ふーっ、では、まず私達の事について話しますが」




「全員でたった4人しかいません」




「この前は私を含めて2人居たよね? あれもメンバーで、残りの一人は別のとこでチームの作業をやってくれてます」




 そうなんだ、あの人達とこれから一緒に...




「それでここからが大事な事なんだけど....」




「実は組んで私達日が浅いんだよね」




「あと普通にはチームにはコーチも居ますがそういった人も居ないです」




「へっ!?」




「なのでまだこれと言った試合も出てないし、私だけが纏めやすいって事で取り敢えずリーダーって感じになってるけど、あんたがやりたかったらいつでも譲ってあげるわ」




 衝撃だ、この前あんなに仲良さそうだったのに....




「どこがよ!!」




 というより私が緊張してる事に関しては言わないんですね。




「まぁ、個人のプライバシーは尊重してるしね...」




「それに、慣れてないとこでは当たり前じゃないかしら?」




「あの、それで、私が出来る事って?」




「前も言ったじゃない、貴女ができる事は魔法を使って敵を倒す事だけよ」




「で、でも私....」




「あーあー聞いてない聞いてない、出来る出来ないじゃなくて、まずは本質を理解しましょう?」




「そりゃ誰だって努力する方向を間違えたら意味ないわ」




「はい...」




「うーん、貴女が自信なくてどうすんのよ、取り敢えずやってみましょ! 私も手伝うから!」




「そう決めたんでしょ?」




「っ....はい」




「ふふん、じゃあその為にやる事は....」




スッ




「私についてきなさい!」




「い、いきなりなんですか!?」




なんやかんなで入る事になったけど。


(主に金銭的な理由で)




何処に連れてかれるっていうの?




〜数時間後




「ついたわ!」




 一見してみれば普通の家だ....それにしても結構時間かかったな。




「なんなんです?ここ」




ドンドンドン!




「おーい、奏ーいるー?」




トタトタトタトタ




ガチャッ




「はぁ、何の用?」




「貴女の物借りていいかしら?」




「またか....これで8回目、私の家から持ってっていいから来ないで欲しいんだけど?」




「その...返すの忘れちゃうから....」




「はぁ」




 目の下のクマが酷く、乱れきったボサボサの髪、まともに睡眠がとれてなさそうな衰弱しきった表情をしている。寝れてないのこの人のせいなんだろうな....




「それに、今回も外れだよ、きっと」




「まだわからないでしょ!?」




「はぁ....」




「それもずっと言い続けて何回目ですか?もう諦めましょうよ、大人しく解散した方が良いんですよ、特に私達みたいのは....」




「っ......!と、取り敢えず、貸して貰えるかしら!」




「また傷心しても知りませんからね...」




「ほら」




「言われなくても、もうしないわ」




「はいはい、じゃあ奥で作業してるんで、なんかあったら呼んでくださいね」




「中入ってどーぞ」




「あーそれと機械類には触らないで、怪我するから」




「まぁそういう事で」




「ふぁっ......」




 なんかマイペースな人だな、それに何回もって....やっぱり....すごそうな見慣れない機械が沢山ある....




ササッ




スチャッ




「あの、今の人は?」




「ああ、奏だよ、名字は知らない、何故か本人が言うのを渋るからね」




「それに今貴女が聞きたいのってそんな事じゃないでしょ?」




「気になってるなら教えてあげるわ」




「うちのチーム、メンバーが足りないって事で募集し続けてるのよ、だけど、来た人全員何故かすぐに辞めてしまって試合出れなくて....」




「こうして貴女が来てくれて助かってるって訳よ」




「それに私諦めてないの、チームとして結束できる日がいつかくるってね」




 やっぱり、そうだったんだ、普通ではなかなか見ないから不思議で....




「なんだ、わかってたのね、貴女よく勘がいいって言われない?」




 いや、特には無い....かな。




「まぁ、それはそうとして本題に移るわ、今私がつけてる眼鏡だけど、これで貴女の魔法の本質が見えるから、取り敢えず見ていくわよ」




 驚いたそんな物を作れるんだ、あの人、見た目に反して優秀なんだな。




「ふーんふんふん、なるほど、うん?」




「どうしました?」




「いや、不具合なのかしら、何も見えない....いや厳密には見えるのはたった一つだけ」




「うーんと、これ本当に魔法なのかしら?」




「えっと、何が見えたんですか?」




「はっきり言うわ、いつも通り、貴女の心の声とどんな感情を今持っているのかが見えるだけだわ」




「それって、普通なんですか?」




「いや、普通は、どんな魔法なのかが言葉で記され、どのようにして使うのかが基本的にはわかるのだけど.....」




「そ、それって.....」




「うーん、良くわからない!」




「そういう事にしておきましょう!」




「えぇ.....?」




「心配しなくとも、試合中に自分の本当の魔法の使い方がわかる可能性もあるし、開花する事もあるからまぁおいおい、やっていければいいわ」




はぁ、これから本当に心配だ....引き受けた自分にも非はあるけど、これってもう....




「えと、えっと、ま、まぁ大丈夫よ私がついてるから!」




「心配ですよ、本当に....」




「魔法は一人につき一つなんだし、一つぐらいすぐ使える様になるわよ!」




「それに、魔法が使えなくとも魔術を練り込んで作った武器を最低限使えれば全然いけるから!」




「試合って魔法がメインですよね、そんな事して大丈夫なんですか?」




「大丈夫だって!きっと.....」




 うわぁ、露骨に目線逸らしてきた。ということはやばいんだな多分。




「や、やばくないわよ!でも、多少は言われたりするけど....」




「はぁ、まぁいいですよそれで」




「や、やってくれるの?」




「う、嬉しいわ!じゃあこれからよろしくね!」




 ほんと、どうなっちゃうんだろ、私。

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もしも私が魔法のように在れたなら うに豆腐 @unitofu

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