第4話 ぺんたんみたい
メッセージを見てみると、私が書いて挫折した異世界ファンタジー物に対する意見が書かれていた。
端的に言えば、ぺんたんが私に言ったのとほぼ同じ内容だった。
ペンネーム的にも読み専の人ではないはず。
私は言い知れぬ高揚感のままに彼のマイページに飛んだ。
私の勘は半分外れで、小説は書いてなかったが、詩を書いていた。
結構な数を書いていて、読んでみると退廃的な詩が多く、美しい言葉選びの中で深い闇を感じさせられたが、時折ある妙に温かな詩が印象的だった。
何だかよく分からない不思議な人だ。
この人も何か辛いことがあるのかもしれない。
「お返事するの?」
「うん。出会い厨でもなさそうだしね」
「ネットは恐いからね。深入りしたらダメだよ?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
ぺんたんと同じ批評をする人が変な人のはずがない。
ずっと私と過ごしてきたぺんたんが至った結論にすぐ辿り着いた人なら、特に不安なんてない。
なんなら安心感すらある。
だってぺんたんの分身みたいな人なんだよ?
指摘してくれたお礼や、詩の感想と軽く名前に触れたものを書いてメッセージを送ると、わりとすぐに返事がきた。
少し棘のある文を書く人という印象だったが、返ってきたメッセージからは穏やかさを感じた。
どうやら宮本賢治は本名らしい。
偽者感があるペンネームが実は本名だったら面白いだろうという彼なりのユーモアなのだと。
実際に私も驚いたから、思惑通りというわけだ。
「莉亜ちゃん、小説書かないの?」
「この人、面白いから、返事書いてからね」
「…あんまり感心しないな」
「ぺんたん、もしかして妬いてるのー?」
「そんなんじゃないよ。ボクは…ただ…心配で…」
ぺんたんは私の最初で最高のファンだから、公開される前の下書きでも読みたいのかもしれない。
返事を書いたら小説も書くから大丈夫だよ。
ちゃんとぺんたんにアドバイスもしてもらうよ。
ぬいぐるみの殺し方 ひす @hisu1999
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