古代の遺跡 3

残る一匹。その動きはこれまでよりも速く、慎重だ。こちらの隙を狙い、風刃を放ちながら距離を取る。こちらも呼吸を整えながら動きを追う。次の攻撃で仕留めるには、正確なタイミングが必要だ。


リザードが尻尾を振り上げた瞬間、それを読み、横に回り込む。剣を全力で振り下ろし、胴体を捉える。刃が深く入り、リザードが最後の抵抗を見せるが、続けざまの一撃で完全に動きを止めた。


広間に静寂が戻る。息を整えながら、散らばるリザードの残骸を見渡す。ここまででかなり体力を消耗している。だが、奥の通路にさらに強い気配を感じる以上、ここで立ち止まるわけにはいかない。ポーションをもう一度飲み、疲労を少しでも軽減しながら次の一歩を踏み出す。


次の広間が目に入る。そこはこれまで以上に広く、中央には大きな風の結晶が輝いている。そして、その結晶の周囲を覆うように佇む巨大な影。ブレイズウィンド――ウィンドリザードの上位種だ。その体はこれまでのリザードとは比べ物にならないほど大きく、全身が青白い光を放っている。


ブレイズウィンドがこちらを見据えながら低い唸り声を上げる。その尻尾の先には渦巻く風のエネルギーが集中しており、その一振りがどれほどの威力を持つか想像するだけで、体が強張る。だが、この敵を倒さなければ、この階層を突破することはできない。


剣を握り直し、相手の動きを観察する。次の一手を間違えれば、命取りになるだろう。冷静になれ。焦るな。自分にそう言い聞かせながら、広間の中心へと足を進める。


広間の中央に立つブレイズウィンドが、低い唸り声と共に動き出した。その巨体が放つ威圧感はこれまでのウィンドリザードとは比べ物にならない。尻尾の先に集中する風のエネルギーが、見るだけで破壊力を想像させる。風刃一撃をまともに受ければ防具ごと吹き飛ばされるだろう。呼吸を整え、剣を握り直す。この戦いは、これまで以上に慎重さが求められる。


ブレイズウィンドが地面を蹴り、一気に間合いを詰めてきた。その速さに息を飲むが、尻尾の一振りを横にかわす。だが、その風圧だけで体が揺らぎ、一瞬動きが鈍る。これは近接戦だけではなく、風圧や衝撃も敵の攻撃手段だ。どのように動くべきか。頭の中で何度も戦術を巡らせながら相手の動きを観察する。


尻尾が再び振り上げられる。今度は風刃が放たれ、広間全体を切り裂く勢いで飛んでくる。剣を構え、風刃の軌道を見極めてかわすが、足元の感覚が鈍りつつある。床に散らばる風化した石片が、踏み込むたびにバランスを崩す。それでも冷静さを保ち、相手の隙を探るしかない。


剣を構えたまま、ブレイズウィンドの側面に回り込む。正面からの攻撃は無謀だ。まずは尾の付け根や側面の弱点を狙うべきだと判断する。ブレイズウィンドが一瞬動きを止めた隙をつき、剣を振り下ろす。刃が鱗を捉えた感触が手に伝わるが、完全に貫くには至らない。その硬い外殻が、どれほどの防御力を持っているのか思い知らされる。


一撃を加えたことでブレイズウィンドが大きく吠え、風のエネルギーを周囲に放出する。その衝撃波が広間全体に響き渡り、身を低くして耐えるしかない。体にずしりと響く衝撃。次の一手をどう仕掛けるか、頭の中で冷静に考える。


ブレイズウィンドの尻尾が再び大きく振り上げられた瞬間、跳び退ることで距離を取る。視界を保ちながら相手の動きを観察し、隙を突くためのタイミングを待つ。風圧が収まったその瞬間を逃さず、剣を構え直して突進する。今度は尾の付け根を狙い、刃を振り下ろす。刃が深く入り込み、ブレイズウィンドが苦しげに吠える。


そのまま追撃を仕掛けるべきか、退くべきか。一瞬の判断が求められるが、ここでの無謀な行動は命取りになる。相手が体勢を整えるのを見計らい、慎重に動きを観察する。相手のエネルギーが少しずつ乱れているのが分かる。これは勝機が近づいている証拠だ。


再び間合いを詰め、正確な一撃を狙う。剣を振り上げた瞬間、ブレイズウィンドが風のエネルギーを渦状に放出してきた。それをかわしつつ、体の柔らかい部分に剣を突き刺す。刃が再び鱗を貫き、ブレイズウィンドが激しく暴れる。その暴れ方に広間全体が揺れるが、こちらも必死に剣を握り続ける。


最後の一撃を放つべく、渦が収まりかけた瞬間を狙う。全力で剣を振り下ろし、相手の胴体を切り裂く。ブレイズウィンドが低い音を響かせながら地面に崩れ落ちた。全身から力が抜け、剣を持つ手が震える。ようやく勝った。


ブレイズウィンドが消えた場所には、「ブレイズウィンドの結晶核」と「硬化鱗」が残されていた。これまでの戦いの成果としては申し分ない。アイテムを慎重に回収し、息を整える。次の階層へ進む準備をするべきだが、疲労が徐々に体全体を包み込む感覚が広がっている。


◯収集アイテム

・風の結晶片 ×1

・ウィンドリザードの鱗 ×5

・ウィンドリザードの尻尾 ×3

・ウィンドリザードの風袋 ×2

・ブレイズウィンドの結晶核 ×1

・ブレイズウィンドの硬化鱗 ×1


[Tips]

風の結晶片

風属性の魔力を内包する小さな結晶の欠片。魔法道具や装備品の強化素材として利用されることが多い。結晶そのものは軽く、微かに風が吹き抜けるような感触を持つ。


ウィンドリザードの鱗

ウィンドリザードの身体を覆う軽量で強靭な鱗。風属性の魔力を帯びており、装備品に加工することで回避性能や軽快な動きを助ける効果を持つ。防具の素材として人気が高い。


ウィンドリザードの尻尾

ウィンドリザードの素早い動きの源となる部位。内部には風属性のエネルギーが蓄積されており、武器やポーションの素材として利用される。加工次第で特定の効果を引き出せる。


ウィンドリザードの風袋

ウィンドリザードの体内に存在する特殊な器官で、風の魔力を蓄える役割を果たしている。軽量かつ柔軟で、風属性のポーションや魔道具の素材として重宝される。触れると微かな風を感じる。


ブレイズウィンドの結晶核

ブレイズウィンドの中心部に位置する風と炎の混合エネルギーを凝縮した核。希少性が高く、強力な武器や装備の核素材として使用されることが多い。その表面は熱を帯びており、触れるとわずかに暖かい。


ブレイズウィンドの硬化鱗

ブレイズウィンドの体を覆う鱗で、炎と風属性の魔力を同時に宿している。極めて硬質で防御性能が高いが、加工が難しいため熟練の職人による扱いが必要。鎧や盾の強化素材として特に重宝される。

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孤独のダンジョン~うおォン、ソロで攻略するときはね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか、救われてなきゃあダメなんだ。独りで、静かで、豊かで……~ ☆ほしい @patvessel

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