望郷の念って、
黒蜜きな子
趣味で変質してゆく私。
それとの出会いは、突然だった。
学校の図書室で出会った一冊の本。
なんとなく手に取って、読み進めるうちに。
――なんだか懐かしさを覚えた。
それは縁もゆかりもない土地の話だった。
最初は思春期特有の後で恥ずかしくなる変な思い込みとか思ったけれど、そういうのとは何かが違った。
半年たっても一年たってもこの思いから抜け出せない。
どこかに帰りたいとかそういう中学生の私にはまだあるわけもない気持ちが日に日に強くなるのがもはや可笑しかった。
でも、そのおかしさが、可笑しさがどんどん苦しさにもなった。
どれだけそんなこと考えたって別にそこに行けるわけでもないし、それ以上にこんなこと考える自分がばかばかしくて仕方がなかった。
でも、時々夢に出てくることすらある土地を忘れることはどうしてもできなかった。
どれだけ忘れようとしても、自分の中の何かがそれを許してくれないから。
そんなことを考えているうちに語学なんかを始めてしまったから、余計に忘れることは難しくなったうえ思いも強くなって辛くなったというだけの話です。
……どうです?ばかばかしいですよね?
望郷の念って、 黒蜜きな子 @kuromitsu07
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