ひつじとライオン

夢月みつき

本文「ひつじとライオン」

 エアコンとホットカーペットが暖かく、快適に温度をたもってくれるリビングルームでふたりはくつろぐ。



 背丈が、180センチもある私の彼と小柄な私は立ったまま、キス一つするにも一苦労で、細身の私は背伸びをして精一杯、つま先を伸ばす。

 

 すると、体格の良い彼は腰をかがめてくれる。ようやく届いた私を彼は、いつもお姫様だっこをしてソファーに運んでくれるんだ。


 私は羊の獣人で彼はライオンの獣人、肉食獣と草食獣、ふつうでは有り得ないカップル。でも、私達は二年も付き合っている。

 

 私がソファーに座って足の爪に赤いペディキュアを塗っていると、彼が後ろから抱きしめてきた。

 彼の長い赤髪が首に当たってくすぐったい。



「なぁ、テュール。昼は何にする? おまえの好きな物を作るぜ」

「そうねえ、ライの好きなもので良いわよ。なにが食べたいの?」


 ライは私の白い巻き毛を指に巻き付けて、うーんと唸りながら考えている。

 可愛い~、私が思わず和んでいるとライは私の耳元でささやく。


「……俺はお前が食いたいな。ダメ?」


「駄目よ、なにいってるの?」


「もう我慢できないんですけど」


 ライはそう言いながら、私をソファーに押し倒して来た。

 ギシッとソファーの軋む音がする、私とライの瞳が交差して、彼の鋭い瞳に見つめられる。



「食べたいってこういうこと……?」


「ふふ、さぁな」

 


 ライは薄く笑うとそのまま、私の唇を奪ってむさぼるように私を抱いた。



 ―――ああ、私、このひとにだったら食べられても良い―――



 -END-





 ♠♤∴─────────────────────────∴♠♤

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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