第7話 圧倒的な力の差

朝のホームルームでライオネル教官が厳しい声で生徒たちに告げる。


「本日、AクラスとBクラスの訓練生が交流会としてCクラスに合流する。

目的は訓練生同士の実力を知り、連携を学ぶことだ。だが、一つ忠告しておく。

自分の立ち位置を知ることは、成長への第一歩だ。」


教官の言葉に、教室内がざわつき始める。


「Aクラスって、あのダリル・クレインがいるところじゃないか?」

ユアンが耳打ちすると、レナが胸を張って答える。


「だからどうしたの?私たちだって負けてない。」


一方、アレンは少し緊張した様子で、アンブレラを見つめながら小さく息を吐いた。



訓練場に集まった生徒たちは、それぞれのクラスごとに整列していた。

アレンたちの前には、Aクラスの生徒たちが堂々と立っている。

中でもダリル・クレインは一際目立つ存在だった。


「お前がCクラスの代表か?」

ダリルがアレンの前に立ち、冷ややかに見下ろす。


「代表ってわけじゃないけど…俺も一生懸命やるつもりだ。」

アレンが返すと、ダリルは薄く笑った。


「お手並み拝見だな。」


Bクラスから加わったライアン・ケストナーが割って入る。


「まあまあ、張り詰めた空気はほどほどにな。チーム戦なんだから、協力が大事だろ?」



訓練内容は、仮想のヴォイドを討伐する実践的な模擬戦。

ダリル、アレン、ライアンのチームが編成され、行動を開始する。


「作戦はどうする?」

アレンが尋ねると、ダリルは即答する。


「簡単だ。俺が全部片付ける。お前たちは後ろで見てろ。」


「それじゃ意味ないだろ…」

アレンが抗議しようとするが、ダリルは振り返りもしない。


仮想のヴォイドが次々と出現する中、ダリルはアンブレラを軽々と振り回し、圧倒的なスピードと精密さでヴォイドの核を破壊していく。


「すごい…」

ライアンが感心したように呟く。


「これがAクラスのトップか。」


一方、アレンは何もできない自分に歯がゆさを感じていた。


ヴォイドが複数現れた場面でも、ダリルは一人で全てを処理してしまう。

近距離型アンブレラで敵を引きつけ、瞬時に電撃を放って核を破壊。

圧倒的な速度で戦況を支配していた。


「お前ら、本当に何もしないつもりか?」

ダリルが余裕の笑みを浮かべながら言う。


「したくても、もうやることがないよ。」

ライアンが苦笑する。


アレンは拳を握りしめた。

「これが、実力の差ってことか…。」



模擬戦が終わり、全てを一人で片付けたダリルがアレンの前に立つ。


「お前、悪くない目をしてる。でも、実力が足りない。」

ダリルは冷たく言い放つと、その場を去った。


「アレン、大丈夫か?」

ライアンが声をかける。


「俺たちがどうこうする前に、全部終わっちゃったな。」


アレンはぎこちない笑みを浮かべたが、内心では自分の無力さを痛感していた。

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2025年1月10日 06:00

UMBRELLA もじょきんたん @cyairoikedama

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