第6話 潜む脅威と陰謀
雨が降り続ける中、Cクラスの生徒たちは廃工場の調査任務に派遣される。
ライオネル教官が厳しい声で指示を出す。
「廃工場周辺でヴォイド核が複数発見されている。核がヴォイド化する前に破壊しろ。慎重に行動し、無駄な危険を冒すな。」
「雨が降るたびにこんな任務なんて嫌になるな。」
ユアンがぼやくと、レナが笑いながら肩を叩く。
「それを止めるのが私たちの仕事でしょ?」
「精霊が雨に乗せて核を運ぶのは常識だ。」
ジェイスが冷静に言う。
生徒たちは小グループに分かれて廃工場を探索する。
アレン、レナ、ナイラ、ユアンのチームが工場内部を担当。
「湿っぽいし暗いし、ヴォイドが出そうな場所だな。」
ユアンが辺りを見回す。
「それよりも、核を見つけることに集中して。」
レナが注意を促す。
ナイラが足元の水たまりを指差す。
「ここ、核が沈んでるわ!」
水たまりの中には、黒く光る小さな球体――ヴォイドの核が見える。
「破壊するぞ。」
アレンがアンブレラを構えた瞬間、水たまりが動き始め、ヴォイドLv1が現れる。
「危ない!」
レナが叫び、素早くアンブレラを開き、ヴォイドの触手を防ぐ。
「アレン、やって!」
「わかった!」
アレンがアンブレラで電撃を放ち、ヴォイドの核を破壊する。
ヴォイドは黒い霧となって消滅した。
「見事だな。」
ナイラが感心した様子で言う。
探索を続ける中、ナイラが廃工場の奥で奇妙な装置を発見する。
「これ…水を引き寄せて溜め込む仕組みになってる。核がここに集まるように設計されてるわ。」
「どういうことだ?」
ユアンが首をかしげる。
「人間側の誰かが、この場所にヴォイドを集めているってことよ。」
ナイラが険しい表情で言う。
「まさか…。でも、何のために…。」
レナが驚く。
アレンは黙って装置を見つめた。
「俺たちを狙ったってことはないか?」
「わからないわ。でも、だとしたら許せない!とりあえずこの事は教官に報告しましょう。」
ナイラは困惑した表情で言った。
任務を終えた生徒たちは、廃工場を離れる。
ライオネル教官がチームを出迎え、報告を受ける。
「ヴォイドを集める装置があっただと?」
ライオネルは眉をひそめる。
「人間の中に精霊側に手を貸している者がいる可能性があるな。」
「そんなことありえるんですか?」
アレンが問いかけると、ライオネルは答えず、険しい表情で遠くを見つめた。
その夜、アレンは寮の窓辺で雨音を聞きながら独り考える。
「精霊が雨を使って核を運び、人間を襲う…。だけど、この戦いは本当にそれだけなのか?」
彼の胸の中には、戦争の裏に隠された真実を追求しようという新たな決意が芽生え始めていた。
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