「目覚めの部屋」
低迷アクション
第1話
不動産業に務める友人が、地方の業者と打ち合わせ時に面白いチラシを貰ったと
言う事で見せてもらった。以下はその内容である。
〇〇レンタル・ルーム101号室をご利用の際の注意事項
※ご利用の前にしっかりとこちらを読んでもらい、納得できない場合は、早めのキャンセルを下記QRコードもしくは、電話番号までお願いします。料金については、
全額返却(通常のレンタル・ルーム利用料金の半分程の値段)をお約束します。
とにかく、一抹の杞憂もしくは、嫌な予感を感じた場合は手遅れになる前に、ご利用をやめてください。
ルール①:当ルームは以前、新興宗教“メザメ”の教祖が借りていた部屋です。
まず、この点をしっかりと理解下さい。
ルール②:他の部屋と設備は同じですが、床が少し柔らかい、もしくは
“生き物の背中に乗っている”感触を味わう事があります。特にこれが問題となる事はありませんが、まれに、何かが床から上がってくる、沸いてくると言った現象に見舞われる可能性があります。その際に、備え付けのクローゼットの中やテーブルの上に乗ると言った行為は、ご控え願います。
ルール③:トイレと洗面所の廊下を、何かが動くのを目撃する事があります。前の住人は、それを“アナイビト”と呼んでいたようです。決して近づいたり、後を追いかけたりしないで下さい。帰れなくなります。
ルール④:複数の方で利用される場合、誰かが、両の掌を反対に付き合わせ、上下に動かし始めた場合、前の住人の言葉で言えば“カイガン”の合図となります。すぐに、その方を部屋の外に連れ出して下さい。指が持っていかれる事があります。稀に、白目を剥き、噛みつき、四つん這いで壁を上ると言った“メザメ”の状態になった場合の責任は当方一切とりません。
ルール⑤:最後になりますが、この部屋はメザメの信者達から“目覚めの部屋”と呼ばれていました。決して、目覚めてしまう事のないよう、よろしくお願いします。
このチラシを貰った際、友人は業者に、この部屋で実際に何かが起こったのかと尋ねた。相手は黙って、3本しかない指を見せた…(終)
「目覚めの部屋」 低迷アクション @0516001a
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます