作詞家

 ある秋の日の夜…、僕は1人で夜道を歩いている。

 月が出ている。夜空を見上げる…。


 僕の趣味は、詩を書くこと。

 それが仕事にできればいいと以前から思っていた。

 本屋で見かける詩集を見ては…、いつか、僕も晴れ舞台で…、と、そう考えていた。

 それが僕の夢だ。

 家族も、彼女も、友人も、僕の詩を応援してくれていた。


 詩を書くこと、それは僕にとって重要な事だ。

 僕の言葉が、いつも僕のそばにいた。


 月日が過ぎ…、大学を卒業した僕は、詩とは関係のない仕事に就いていた。

 少し名残惜しくもあったが、夢は諦めた。


 ある日、僕の子供が高校生くらいになった時、

 僕の詩が書いてあるノートを偶然見つけ、

 そして、血が繋がっている事もあるのだろうか、僕の詩をよく評価してくれた。

 それから彼も詩を書き始めたらしい。


 空を見上げる。夜空を満たす星々と、綺麗な月があった。

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短編集 糸式 瑞希 @lotus-00

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