お年玉代わりに

金子ふみよ

第1話

 午後から新年の挨拶に、甥の一家がやって来た。三人して仏壇で線香をあげてから、居間に来た。小学4年生になる子にはジュースの方が良いのかもしれないが、買い忘れていたので三人分のお茶を出した。テーブルの上にはざるに盛ったみかんがある。甥はさっそくそのみかんに手をかけた。

「ちょっといいか」

 皮をむく前に甥を呼んで段ボールを見せた。中身は年末叔母から送られて来たものの一部がある。下仁田ネギとこんにゃく、しらたき、あとお菓子類、なぜか年末に四方からもらったパスタ、キウイフルーツなどなど。

「ネギはすき焼き何かの鍋に使うといいぞ」

「すき焼き、良いね」

 甥は嫁さんにアイコンタクトを送る。嫁さんも悪い顔はしていなかった。

 渡す物の説明を一通りして席に戻って、甥はみかんの皮をむき一房ずつ食べ始めた。猫舌なのである。嫁さんは遠慮しているのかみかんには手を伸ばさずお茶を啜っていた。

 30分ほどあれやこれやと話しをしてから、まだ回るところがあると言って甥一家は出ていった。

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お年玉代わりに 金子ふみよ @fmy-knk_03_21

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