萌え怖
釣ール
危ない弟
二〇〇〇年に産まれた人達も大学を卒業し社会人になって二年が
私は二十代後半になって転職前提で女性会社員として働いている。
今住んでいる場所が
あとは男性との付き合い。
昔は海外の人が良かったなあ。
周りも結婚がどうのとか三十代以上の人には言っているけど私は言われたことがない。
そういえば『弟』も二十代前半になって上京しているとか。
仲が悪いわけじゃないけど怖くて。
仲間想いだし家族想いなのはいいけど
いそがしくて連絡をとってなかったし、弟にも弟の生活があるから気をつかっていた。
そうか。
『わけのわからないもの』が消えてから五年
───わけのわからないもの
二〇二〇年の夏。
まだ大学生だった私は先がなくなっていく現代社会とコロナウィルスの人間社会へのとけ込み方が卒業を急かすように授業の時間をスマホのスケジュールに組み込ませた。
あるゆる常識も先人の
久しぶりに実家へ帰った時も顔を合わさなかった。
男の子だし大学生のお姉さん相手だと気はずかしいだろうなあと思って一度も
「大事な友達を人間あつかいしない時代おくれの連中に勝ったんだ。傷も一つしかついていない。それに先に手を出したのも相手。ギリギリまで俺は手を出していない」
「連中ってあんた一人で
弟は悪いと言って部屋へ帰った。
別に
そうだったとしてもあんたならすぐに
生きづらい現代に。
実家に帰ってすぐに
そろそろ今の家へ帰ろうとしたら弟が道をふさいだ。
「え? 今度はなに?」
「ふせて」
弟は私を地面へ優しくふせさせた。
すると部屋の空気がなにやら
「くそっ。あいつら別の
「待って? さっきから何の話? あんた何と戦ってきたの?」
「姉ちゃんは俺が守る。この世界なら現実で流れている時間は遅い。ここでの一時間は現実ではコンマ一秒! その変わりこの空間のあるじを殺さないと帰れない」
なんの話をしているんだ?
あとなんか漫画かインターネットで流れていたセリフを私が使うとは思わなかった。
「一体、何と戦っているんだ?」
空気のかたまりが実家だったはずの家を
弟は何かロウソクを用意して火をつけた。
どこから、どうやって?
「このロウソクについた火を身体にまとえば現実ではただの水分でしかない
コロナ禍でなんかあったの?
火をまとうって?
そもそも誰と
つっこみどころ
それなのに弟なら解決できると信じていた。
ロウソクの火をまとった弟は
「日本人だからって馬鹿にするな!」
いやいや複数の人間と
仕方ないか。
コロナ禍になっている非日常な世界でもあったか。
現実は。
ってちがう!
もう元の世界に帰りたいとかじゃなくてあんたが無事だったらそれでいい。
弟は私の心配をよそに見ている人間が限られているからってアニメ主人公みたいに動き回っていた。
どこで覚えたその蹴りは!
あれパンチなの?
攻撃まったく食らってない?
あれよあれよと
私に手を差しのべ、その腕に手をのばす。
「背中、かっこよかったよ」
「姉ちゃんには何にもなかったか。巻き込んでごめん。大学いそがしいのに」
危ない弟。
この先どうしていくのか分からないけどあんたならなんとかしちゃうのかもね。
文字通りコロナに負けなかった男。
もし私が付き合うならもうちょっと安全な人がいいな。
ここまでかっこよすぎる弟を見ちゃうと。
あれから五年が
弟が高校卒業してからどうしているのか怖かったけど、連絡先は変わってないと信じて久しぶりにトークを送ってみた。
弟:姉ちゃんか。ずいぶん久しぶり
私:とくに話すことなかったけどまえ私が実家帰った時に変な
それ思い出してさ
弟:あの
私:そうなんだ。すごすぎ。話は変わるけど東京にいるならいい店教えようか?
弟:俺がおごる。久しぶりだし。
私:じゃあ予定が空いたら返事して
さりげなく
弟じゃなかったらほれたかもしれない。
いや、どうかな。
姉から見る弟の
何かあったら助けてくれそうな弟か。
細く長く関係を続けたい。
だって怖いから。
【了】
萌え怖 釣ール @pixixy1O
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