第7話 初めての海

 中3の6月、大会で負けた部から、3年生は引退になっていく。

 私の女子バレー部は、地区大会で負けて、もう終わっていた。

 しろちゃんの男子バスケットボール部は、一個上の大会まで勝ち進んだけど、そこで負けて終わった。


 部活が終わったから、一緒に帰れるようになった。

 けど、私の家と、しろちゃんちは完全な逆方向。

 私の家まで送って行くよって、言ってくれたけど、それはちょっと遠慮した。

 それで、学校近くの公園で、少し話をしてから、別々に帰ることにした。

 いつも、6時までは部活だったから、そのくらいまでは平気かなって、公園で話していた。

 今日の学校での出来事とか、テレビの話とか、しろちゃんが好きだってゆうアニメの話とか、

他愛もない話だったけど、しろちゃんと一緒にいるだけで楽しかった。


 私の誕生日が7月末で、しろちゃんの誕生日が8月の頭。

 お互いの誕生日が近かったし、夏休み中だったから、2人の誕生日の間をとってデートすることにした。

 せっかくの夏休みだし、どこかちょっと遠くへ行こうかって、電車で海に行くことに決めた。


 8月の海に行くなら、本来は海水浴なんだろうけど、水着はスクール水着しか持ってないし、しろちゃんの目の前に貧相な水着姿をさらすのは、絶対に絶対にイヤだったから、海に行くけど、泳ぎなしで、水族館とかにしようと言った。


「水着NGなの?ってか、水泳の授業で、ガッツリ見てるけどな~美月の水着姿は」


「わ~わ~わ~!!もう!しろちゃん!イジワルなこと言わないでよ!」


「イジワルじゃなくてさ。美月、泳ぎきれいじゃん!マジでガン見!!」


「ガン見って、スケベ!!」


「あはは!男子はみんなそんなもんだよ」


 結局、海には入らず、水族館へ行ったり、カキ氷を食べたりして帰ってきた。


「俺、海に行って泳がないで帰ってくるの 初めてかも。

 美月、来年はさ、一緒に水着買って、海で泳ごうよ!俺も、スクール水着しか持ってないから」


 帰りの電車で、しろちゃんはそう言った。




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自然消滅って、あるんだ 彼方希弓 @kiyumikanata

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