第6話 どこを好きになってくれたのか
月1くらいのペースで、デートした。
電車に乗って、20分くらいのところにある
ショッピングモールに行くことが多かった。
お互いにお金もなかったし、ショッピングするってゆうよりは、歩きながら話をして、疲れたらフードコートでお茶するみたいなデート。
何回か、同じクラスの同級生たちに遭遇したりした。
みんな、えっっ!!??って驚いて、しろちゃんに、お前らってそうなの?って聞く。
うん、そう。って、しろちゃんは笑って答える。
これは、明日 学校へ行ったら、からかわれたり、冷やかされたりしちゃうんだろうな……
って思ったけど、まったく噂にもならなかった。
相手が私だから、だな……
私は、からかわれないタイプ。
相手にされないタイプだ。
陰キャは、からかう価値もないって感じなのかな。
それで、最初の疑問がまた頭に浮かぶ。
私のどこを好きになってくれたのか。
それを直接聞くのは躊躇われたけど、付き合って半年経った頃 聞いてみた。
桜の花が満開で、近くの公園へ2人で お花見に行った。
「ね、しろちゃん!ずっと聞きたかったんだけど、私のどこを好きになってくれたの?」
「えっ?」
しろちゃんは立ち止まって、ニコッと笑い
「きっかけはね~、ぶっちゃけ顔!」
「顔?私の顔が好みなの?」
「あはははは!怒らないでね。
好みってゆうか、ウチの犬に似てんな~って思って、入学式からずっと見てた」
「犬?」
「そ、肌が白くて、眉毛さがってて、目も垂れ目で、鼻も口もちっちゃくてさ。
入学式の日、髪をこうやって2つに結ってた
じゃん!
それが、犬の耳っぽくて、マジでうちの
シロ!!って思ったんだ」
「ってか、しろちゃんちの犬シロって名前なの?」
「そ、白山シロって、母さんがベタな名前つけてさ。
中学入ったら、俺のことみんな しろちゃんって呼ぶから、犬じゃねーんだけどって思ってたよ」
「えっ、じゃ しろちゃんって呼ばれんの嫌な感じ?」
「あ、ううん、今は慣れたし、しろちゃんって呼ばれんの可愛くて好きだよ」
「あ、話 戻すけど、犬のシロに私が似てたから好きになったの?」
「シロに似てたから好きになったってわけじゃなくて。
似てたから気になって、よく見てたんだ。
美月は、大人しくて、目立つタイプじゃなくて。
新村とか、女バレとは話してるけど、男子とは全く話さない。
男ぎらい、かな?って、近づけなかった。
中2の春だったか、放課後忘れ物して教室へ戻ったら、美月が花の植木鉢に水をやってた。
あ、この花って、仲田が水をやってたんだ?って声かけようとしたらさ、あはははは!
美月、話し始めたんだよ!!花に!!」
「えっ?」
「どうしたの?なんか元気ないね?なんか、病気かな?とか、
すごいキレイだね!とか、もうちょっとで咲きそうだね!楽しみ!とかさ」
「いやいやいやいや!もういいって!すごいヤバい人じゃん!!」
「ヤバい?あぁ、やべー!今 俺、惚れたわ!!って思った」
「は?そんな花に話しかけてるヤバい女に惚れたの?」
「うん、そう!!やべー!かわいい!!って思っちゃった。
で、それからマジでずっと美月のこと見てたよ。
席替えとかする度に、隣りになれますようにって思ってたけど、一回もなんねーし、同じ班にもなんねーの。
だから、ちょっとガマンできなくなって、告白しちゃった。あはは」
そんな風に思われていたなんて、全く知らなかった……
花に話しかけてるヤバい女を好きになってくれる人も、他にはいないだろう。
私にはもったいないくらいの良い人。
しろちゃんのことが大好きだ。
「しろちゃん、来年の春も、一緒に桜を見に来ようね!」
とても綺麗な桜だった。
来年も!
って、そう思っていた。
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