第15話

「なに?」と、思って振り向くと青白い顔をして着物を着た男の子が二人、肩車をして無表情で走ってきた。

「わーーーっ!!」大きな悲鳴を上げると、とにかく前を向いてひたすら自転車のペダルを漕いだ。


足音がどんどん迫ってくる。怖さが極限に達して、何を考えたのか大声で歌いながら自転車を漕いだ。

「やった!これで足音が聞こえなくなった!」と、最後の力を振り絞っているとようやく家の灯りが見えてきた。


家の前で自転車を停めて、ようやく後ろを見ると不気味な子供たちの姿はなく、ただ誰もいない畑道が薄暗い向こうまで続いていて虫の声が響いていた。

それからはなにがあっても表通りを使っているので、あの子供たちを見ることはなかった。

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怪異 sin @kouden

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