第6話 銀髪美女と北の島で結婚する
アナスタシアさんがいなくなり、僕の生活には色がなくなった。彼女がいないと何をしてもつまらない。あれだけ好きだったアニメもアナスタシアさんと一緒に見れないとつまらないものに思えた。
仕事から帰ってきてもアナスタシアさんはいない。
暗い部屋で僕は過ごした。
そんな僕を心配して、優美はレギオンに連れて行ってくれたりしたが、気分は晴れない。
それだけ僕にとってアナスタシアさんの存在は大きくなっていたのだと思い知らされた。ふとした瞬間にアナスタシアさんの肌の温かさを思い出すと勝手に涙が出てきた。
倉知島でもっとも過ごしやすい初夏がやってきた頃、僕は現場がレギオン終わりであったため、妹の優美と一緒にアパートに帰ることにした。アナスタシアさんがいなくなってから、僕たちの食生活はまたレトルトやインスタント食品ばかりの味気ないものになっていた。
アパートの玄関を開けるとあのボルカシチューの香りが漂っていた。
僕と優美はお互いを見る。
僕は慌てながら靴を脱ぎ、リビングに向かう。
そこにはあのエプロン姿のアナスタシアさんがいた。
「おっおかえりなさい……」
「おかえりなさいね」
僕とアナスタシアさんは同時に言った。
「ワタシこの国に帰化しましたね。新しい名前はアナスタシア・セリョーザ・大和にしましたね」
アナスタシアさんはにこやかに微笑む。
気がつけば僕はアナスタシアさんに抱きついていた。
「よかったね、翔太お兄ちゃん」
優美も涙を流している。
僕は鮮明に思いだした。小学生のとき、僕はアナスタシアさんと出会っていた。
「結婚しようアナスタシア」
僕の口は勝手にその言葉を紡いでいた。
「もちろんね。そういう約束ですね。すでに名前は大和にしましたね」
アナスタシアさんがそう言い終わる前に僕は彼女にキスをした。
アナスタシアさんは僕のキスを受け入れた。
終わり
最北のショッピングモールで銀髪美女と恋に落ちる。彼女は亡国の王女でした。 白鷺雨月 @sirasagiugethu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます