第5話 春 永遠の約束
「わぁ! 桜が綺麗に咲いてるよ!」
「本当だ。この時期に美玖と一緒に来れてよかった」
季節は巡って春、僕達は去年の約束を果たすため美玖と一緒に桜を見にきていた。
桜を見ながら僕達は歩道を歩いている。美玖は僕と腕を組みながら嬉しそうな表情で桜を見ていた。
「ちょっと疲れたから、近くの公園に寄っていこうか」
「うん!」
コンビニで飲み物を買った僕達は近くの公園にあったベンチに座る。
ベンチからも桜が見え、最高の気分で僕達はジュースを飲んでいた。
「なんだか久しぶりに外へ出た気がする!」
「最近忙しかったからしょうがないよ」
彼女は配信だけでなく企業から案件もこなしていたので、この冬はものすごく忙しそうにしていた。
もうすぐ登録者も200万人に行きそうなので、これからも彼女はどんどん忙しくなると思う。
そんな美玖に対して僕はあることを告げようとしていた。
「美玖」
「何?」
「美玖と一緒に住み始めて何年経った?」
「1年半ぐらいじゃないかな? 玲と一緒に暮らせて幸せだった♡」
「僕の方こそ、美玖と一緒に暮らせて幸せだったよ。いつもありがとう」
違う! 僕はそんなことを美玖にいいたかったわけではない。
もっと重要なことを彼女に伝えたのに、それが伝えられずいた。
「どうしたの、玲? 何だか今日はよそよそしくない?」
「実は美玖に渡したい物があって」
「私に渡したい物? それって何?」
「美玖にはこれを受け取って欲しいんだ!!」
僕が美玖に渡したかったもの。それを彼女に見せる。
美玖はそれを見て一瞬驚いた後、ぽろぽろと涙を流し始めた。
「ごめん!? 美玖を泣かせる気はなかったんだ!?」
「本当だよ。こんな嬉しい物を私に見せて、玲らしくないよ」
「えっ!? これをもらって美玖は嬉しいの!?」
「そうだよ! 人は嬉しい時にだって涙を流すんだよ! 玲は知らないの?」
ポケットからハンカチを取り出して涙を拭く美玖。
彼女は僕が渡したダイヤの指輪を手に取ってくれた。
「この指輪、玲が買ってくれたの?」
「うん。去年の年末に買ったんだ」
「去年の年末って、3ヶ月も放置してたの!?」
「仕方がないでしょ!? この3か月間、美玖は仕事で忙しそうにしてたから渡せなかったんだ!」
ここ3ヶ月間、毎日忙しそうに美玖は動き回っていたので、結婚指輪を渡せずにいた。
彼女を困らせたくなくて、こうしてタイミングを見計らい仕事が少し暇になった今日渡すことに決めた。
「玲の気持ちはわかった。ありがとう」
「どういたしまして」
「玲は私に伝えることはないの?」
「伝えること?」
「そうだよ。指輪を渡して終わりってわけじゃないでしょ」
「そうだった!?」
指輪を渡すことに集中しすぎて、大事なことを言うのを忘れていた。
美玖も僕の手を握りながらその時をいまかいまかと待っている。
だから僕の気持ちを素直に告げることにした。
「美玖」
「何?」
「色々と至らない所があって迷惑をかけるかもしれない。でも美玖を愛する気持ちは誰にも負けないと思ってる」
「うん♡」
「君のことを幸せにするから。だから僕と結婚してくれませんか?」
「はい! よろしくお願いします♡」
僕の顔を見ながら美玖は笑っている。
時折目から涙をこぼしながら、僕の手を優しく握ってくれた。
「なんだか改めて言うと気恥ずかしいね」
「そういう雰囲気を作ったのは玲の方じゃん!」
「確かにそうだ」
プロポーズをすると心に決めていたけど、僕はずっと緊張していた。
今日を迎えるまで毎日不安だったけど、プロポーズが成功して本当によかった。
「これからはもっと忙しくなるね」
「そう?」
「そうだよ! お互いの親に挨拶をしないといけないし、式場の下見も必要でしょ!」
「そうだった!? プロポーズをして終わりってわけじゃないんだ」
どうやら彼女と家族になるにはもう少し時間が掛かりそうだ。
でも美玖とならどんな困難でも乗り越えていける。
彼女の笑顔を見てそう思った。
「そしたら家に帰ろう!」
「えっ!? もう帰っちゃうの!?」
「そうだよ! 私達は結婚するんだから、色々とやることがあるでしょ。だからその準備をしよう!」
彼女に手を引かれて、僕は来た道を戻る。
これからも彼女と一緒に生活が出来ると思ったら、途端に嬉しくなった。
「玲」
「何?」
「愛してる♡」
「僕も美玖のことを愛してるよ」
満開に咲く桜の木の下で、僕と美玖は誓いのキスをした。
登録者数100万人超えの美少女Vtuberと付き合ったら幸せになった ~~Fin
登録者数100万人超えの美少女Vtuberと付き合ったら幸せになった 一ノ瀬和人 @Rei18
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