第10話 漆黒

 昨日は飲み過ぎたな、、、まだアルコールが抜けてない体を無理やり起こす。手早く身支度を整え、「まゆ」と約束した喫茶店に向かう。


 先に店についた。なんか昔ながらあるような、

落ち着いた雰囲気の店だな、けっこう、こういうの好き。


 10分ほど、喫茶店でまどろんでいると

「まゆ」が到着した。


「しまー待った?」

「おはよう、まゆ」


 相変わらず、かわいいなかわいい系のビジュアルに少し低い声えもい、えも過ぎる、「しま」のはーとにど真ん中ストレートです!


「しま…注文どれにする?」

「じゃーハムトーストにする」

「わたしも」

 あとは、オーダーを通して世間話に花が咲いた。


「しま、そろそろ時間だね」

「あのね、しまに話たいことあるんだ」

「急にどうしたの?」

 少し沈黙が流れ、、、「まゆ」が口を開いた。

「私、近い内、引っ越すんだ」

 あっ、、、いつものパターンだ。仲良くなったと思ったら、いつも、いつも、俺の周りからいなくなっていく。


 でも「まゆ」の様子がおかしい、、、なんで、そんな悲しい目をしているの?ここで、お別れするのは、なんだか嫌な気持ちになったので、少し話を聞いて見よう。


「どこに引っ越すの?」

「遠いところ、、、」


 まゆの体から一気に黒いオーラがあふれてくる。

これはだめだ!闇が深すぎる、、、このままだとまずい、、、


「そっかぁ、わかった」

「でも、連絡はしてもいい?」

「うん」


 嘘だな、完全に連絡を断つ気だ、、、


「なんで?嘘つくの?」

「えっ、、、」

「引っ越すなんて嘘だろ?」

「嘘じゃない!」

 まゆは周りを気にせず大声で叫ぶ。

「じゃーどうして今にも死にそうな顔して」

「誰かに救いを求める目をしてるんだ」


 穏やかな声でそして相手を包みこむような想いで

島は言った。


 その場で「まゆ」は泣き崩れた。俺はなんで、こう熱くなってるんだろう?「まゆ」が泣いてると胸が苦しい。気の利いた言葉なんて持ち合わせていない、ただひたすら真っすぐに想いを伝えるだけ。

これだから恋愛スキル0のデブは、、、


 それから周りも目もあり、「まゆ」の手を引いて

場所を移すことにした。


 少し歩いて、適当なベンチがあったから、

そっと「まゆ」を座らした。このまま1人返すと、まずいことだけは直感的にわかる。


 これは、あんまり使いたくなかったが、、

ある術を使うことにした。実は俺、、陰陽師の家系で、安倍晴明の末裔である。だから変な力があったり見たくない物も見える。これが原因で女の子にはきもがられた。それは、また次の機会で、、時は急をようする。


「まゆ」の中の闇に小さい女の子が見える。

原因はこれか、、、「まゆ」とその子を引き離した方が良いと思い、その女の子の手を掴む。


 まずい!予想以上の負の力だこっちまで闇に引き込まれる「そうは行くか、お嬢さんよ!」


 左手の指で印をきりながら、こう叫ぶ

「青龍・白虎・朱雀・勾陳・帝台・文王

 三台・玉女」


 この時、光と闇の力が共鳴し時空が歪み、世界が反転した。そして2人はこつ然と姿を消したのであった。


第一部 完

次回 江戸編











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恋愛スキル0のデブと麗しの君 しましま @ryuryu1864

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